進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2012.11.13

三重中京大終幕 完封負けにも涙なし 全国1勝で校名残った

■楽天2位・則本 「4年間走りきった」

 最後は笑顔だった。9回2死。法大・三嶋の変化球に、途中出場の八万のバットが空を切った。この瞬間、三重中京大の戦いが幕を閉じた。ただ、涙はない。

 「日本一にはなれなかったので、満足ではない。でも、4年間、走りきった実感はある」。7回途中から登板したエース・則本は悔しさをにじませたが、下を向くことはなかった。

 三嶋の150キロ近い速球を打ちあぐね、打線はわずか4安打で16三振。先発・長谷川が5イニング1失点と好投し、救援陣は無失点で続いただけに、打線の無援が惜しかった。

 「勝てる試合だった。(決勝まで)もう2試合やりたかった」と中村好治監督(58)。「流れを呼び込みたかった」という5番手登板の則本は自己最速にあと2キロに迫る152キロをマーク。奮闘したが、最後まで三嶋を攻略できなかった。

 4年生の入学直後に決まった閉校。部員は徐々に減り、最後は選手22人と学生コーチ、マネジャーの計24人が残った。全員が卒業するために、授業優先の方針で練習は午前7時から。後輩がいないため、練習の準備も後片付けも全員で手分けしてこなした。

 今秋は三重学生リーグや中部地区王座決定戦などで優勝したが、「返還できない」という理由で優勝旗は持ち帰らなかった。肉体的にも精神的にも辛かったが、小所帯の一体感で乗り越えた。3球連続でフルスイングで空振りし、最後の打者となった八万は「全学年いたら僕なんて試合に出ていない。頑張って続けて良かった」と笑った。

 大学はなくなっても、明治神宮大会で1勝した実績が消えることはない。「三重中京大出」の経歴でプロ入りする則本は「プロで活躍して校名を残したい。三重中京大は終わらない」と力強く話した。軟式を含めて15人が卒業後も野球を続ける予定。彼らの活躍が大学の足跡にもつながる。 (麻生和男)

■DeNA2位指名 法大・三嶋16奪三振

 DeNAからドラフト2位指名された法大・三嶋が三重中京大から16三振を奪って完封勝利。「真っすぐはよくなかったが、スライダーはうまく投げられた」。

 救援で登板した楽天ドラフト2位の則本と終盤の2イニングを投げ合い「いいタマはきていた」と相手を褒めた。

 スピードガンの数字で野球は競うものではないが、この日の三嶋の最速は149キロで、則本がマークした152キロには3キロ及ばなかった。

■閉校予定狂う?

 三重中京大は来春での閉校はできそうにない。本年度の学生数は4年生だけの106人(うち野球部員は学生コーチ、マネジャーを含めて24人)。留年者を出さない方針だったが、この日、5番打者でスタメン出場した林尚希一塁手が試合後、「ボクは卒業見込みではないので、就職はできないし、来年の前期までは学校に残って勉強に頑張ります」と卒業が半年ほど遅れることを明かした。全員が卒業するよう、学校側は強力サポートするという。

【大学の部】
▽準々決勝
三重中京大(中部) 000000000―0
法大(東京六大学) 01000000x―1

福岡大(九州) 000000000―0
亜大(東都) 00010000x―1
(福)大森、唐仁原−梅野
(亜)東浜−嶺井

(2012年11月13日 中日スポーツ6面より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ