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中日新聞掲載の大学記事

2012.06.21

遺伝性血栓症 仕組みを解明 脳梗塞など「治療に助け」 名大グループ

 心筋梗塞や脳梗塞につながる遺伝性血栓症の原因となる遺伝子を、名古屋大大学院医学系研究科の小嶋哲人教授らのグループが突き止めた。米医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに21日、発表する。

 世界保健機関(WHO)の報告では、世界の死因のうち4分の1は血栓症が原因。小嶋教授は「仕組みの解明で治療へのヒントになる。将来、血栓ができるのを防ぐ方法が見つけられるのではないか」と話している。

 グループは遺伝性血栓症の原因となる遺伝子から生成され、血液を固める作用のあるトロンビンと呼ばれる酵素に着目。これは、出血を止める必要があるとき、「ブレーキ」をかけて調整しながら血液を固める働きをする。

 突然変異した異常な遺伝子からできるトロンビンを人工的に合成して分析したところ、血液を固める能力は正常なトロンビンに劣っていたが、ブレーキが利かない状態となっていたため血液が固まり過ぎることが分かった。

 正常なトロンビンと比べると、血液が固まる度合いは最終的に2倍以上になった。

 遺伝子の突然変異が、血液が固まりすぎる血栓症の原因になっていると結論づけた。

 血栓症のうちトロンビンに絡む遺伝子が原因の例は限られるが、小嶋教授は「ほかにも同じような仕組みで起こる血栓症は多い可能性があり、原因の解明が進むかもしれない」と説明している。

(2012年6月21日 中日新聞朝刊25面より)

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