HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2011.12.05
酸素半分 観測の壁 名大研究員、砂漠を70キロ“通勤”
群青の空の下、赤い砂の砂漠が広がり、白銀のアンテナが並ぶ。アルマ計画が進むアタカマ高地は、映画「スター・ウォーズ」を思わせる“異空間”だ。
酸素濃度は名古屋の半分程度。5分も歩けば足元がふらつき、視界もかすむ。「ここの作業基準で、初めての人が滞在できるのは最大4時間までです」と現地スタッフに言われた。
高地の標高4800メートル地点には、名古屋大大学院理学研究科の福井康雄教授の研究室が2004年に建設した小型の電波望遠鏡「NANTEN(ナンテン)2」がある。
アルマは高い倍率・解像度で比較的狭い範囲が見られるが、ナンテンは広い範囲の宇宙を観測できる。それぞれの特性を生かした共同研究で宇宙の謎に迫る。
現地へは名古屋から飛行機を3回乗り継いで片道35時間。過酷な環境下で、福井研究室の研究員は2、3人が1〜3カ月ずつ、交代で観測を続けている。名大助教の山本宏昭さん(34)は通算で3年以上滞在。ベース基地があるふもとの町・サンペドロに寝泊まりし、70キロの道のりを週に何度も四輪駆動車で通う。砂漠の真ん中で故障すれば、助けが来ないかもしれない。今でも数時間も滞在すると集中力が切れてイライラするという。
「生まれたばかりの子どもに会えないのはつらい。でも、人と違うことをやってみたいから頑張れます」
地道な作業が、地球の反対側で続けられている。(中村禎一郎)
(2011年12月5日 中日新聞朝刊1面より)
酸素濃度は名古屋の半分程度。5分も歩けば足元がふらつき、視界もかすむ。「ここの作業基準で、初めての人が滞在できるのは最大4時間までです」と現地スタッフに言われた。
高地の標高4800メートル地点には、名古屋大大学院理学研究科の福井康雄教授の研究室が2004年に建設した小型の電波望遠鏡「NANTEN(ナンテン)2」がある。
アルマは高い倍率・解像度で比較的狭い範囲が見られるが、ナンテンは広い範囲の宇宙を観測できる。それぞれの特性を生かした共同研究で宇宙の謎に迫る。
現地へは名古屋から飛行機を3回乗り継いで片道35時間。過酷な環境下で、福井研究室の研究員は2、3人が1〜3カ月ずつ、交代で観測を続けている。名大助教の山本宏昭さん(34)は通算で3年以上滞在。ベース基地があるふもとの町・サンペドロに寝泊まりし、70キロの道のりを週に何度も四輪駆動車で通う。砂漠の真ん中で故障すれば、助けが来ないかもしれない。今でも数時間も滞在すると集中力が切れてイライラするという。
「生まれたばかりの子どもに会えないのはつらい。でも、人と違うことをやってみたいから頑張れます」
地道な作業が、地球の反対側で続けられている。(中村禎一郎)
(2011年12月5日 中日新聞朝刊1面より)