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中日新聞掲載の大学記事

2011.12.02

“大学の街”小学生キャンパスで授業

■日進市 5校密集財産生かす

 愛知県日進市は、大学が密集する地域の特性を生かし、小学生が大学で学ぶ「子ども大学にっしん」を本年度から始めた。市内の愛知学院大と名古屋外国語大、名古屋学芸大で先月開講。小学校の教科書では伝わらない学問の面白さを知ってもらう試みで、市によると同様の取り組みは埼玉県で行われているが中部地方では初めて。来年度以降も開催大学を増やす計画だ。

 「仮名の五十音図の『ん』の字は、なんで『あかさたな…』の最後に来るの?」「『ん』の字は仮名の中でも新しい字。昔はなかったからだよ」

 11月27日、名外大の教室。日本語学の第一人者でもある水谷修学長(78)が、日本語の五十音の成り立ちや、言語としての特徴などを主題に講義した。椅子に座り熱心にノートをとったのは小学4〜6年生の児童たちだ。

 日進市香久山(かぐやま)小4年、田村海晴(かいせい)君(9つ)は「いつも普通に使っている言葉で新しい発見があった。学校にはない授業ばかりで楽しい」と目を輝かせた。

■専門教員かみ砕き「学生より熱心…」

 子ども大学では、大学の教員が、専門分野の中から小学生でも興味を持ちやすい分野を選び出し、理解しやすいようかみ砕いて教える。本年度は希望した市内の児童50人が参加し、2日間の日程で開催した。11月20日は愛知学院大で4人の教員が講義。総合政策学部の森正教授はニュース番組を題材に、政治や事件などの報道に関して取り上げた。心身科学部の内藤正和講師は、スポーツの歴史と社会的な意義を語った。27日は名外大と学芸大で、言語学や栄養学、動物生態学などの講義があった。

 「授業では、学び、発見する楽しさを伝えようと心掛けた。子どもたちは大学生よりも熱心に聞いてくれた」と水谷学長は感想を話した。

 今回の3大学を含め5つの大学を抱える日進市は「学園都市」をPRしてきた。しかし実際には大学と関わりを持つ市民は少なく、学生も市外からの通学が中心。萩野幸三市長は「せっかくある大学の知的財産をまちづくりに生かし、市の魅力向上につなげたい」と期待している。

(2011年12月2日 中日新聞夕刊1面より)
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