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中日新聞掲載の大学記事

2011.10.21

玄人好み 中日・井端タイプ 岐阜・中京学院大 菊池

 東海地区大学野球岐阜学生リーグに所属する中京学院大(岐阜県中津川市)に、ドラフト指名確実の内野手がいる。菊池涼介遊撃手(21)のもとには、中日、西武を除く10球団から調査書の依頼があった。172センチ、70キロと小柄ながら身体能力が高く、その守備は即戦力なのだ。地方リーグ育ちだが、来季は即1軍を狙う逸材だ。

■機敏な守りパンチ力ある打撃 10球団が興味

 地方リーグで実力を蓄えてきた男がドラフトを直前に控えて、クローズアップされてきた。菊池がプロから調査書を求められた数は10球団に達した。どの球団も守れるショートをいま必要としているからだ。今季は正遊撃手の梵が故障で戦列離脱し、右打ちのショートの獲得が急務の広島を筆頭に、大事な補強ポイントなのだ。

 「肩の強さが際立っている。それに動きもいい。プロでうまく育てば、井端(中日)のようになる」とはオリックス・安達スカウト。

 ここまで人気が高まったのは、日米大学野球選手権の大学ジャパン候補合宿に今年6月に招集されたことが発端。遊撃守備では1歩目の速さと捕球から送球までの機敏な動きで、「守りでプロの飯が食える」と12球団スカウトの目をクギ付けにした。小柄ながら力強いスイングでパンチ力のある打撃。右打者で一塁まで到達タイムが4・2秒台を記録した俊足も魅力だ。

 「スローイングには自信がある。守備固めとかでいいから、まず守りで1軍入りのチャンスをつかめれば…」と菊池。大学日本代表入りにはあと一歩及ばなかったが、藤岡(東洋大)菅野(東海大)に今ドラフトの主役となる代表組とは来季、同じプロのステージで勝負することを夢見ている。

 高い身体能力の持ち主だが、東京都内で育った幼少期から中学まで、ぜんそくに苦しんだ。野球で遠征する時は吸入器が手放せないほど。学校が長野県塩尻市にある武蔵工大二高に野球留学すると、ぜんそくの発作がピタリと収まった。

 「空気がきれいだったからでしょうね」と菊池が振り返る。大学も山あいの町へ。長野県に近い岐阜県中津川市にある中京学院大は緑の木々に囲まれている。ここで入学直後から岐阜学生リーグ戦に出場したことが野球の急速な上達につながり、今秋を含めて計6度のベストナイン受賞。2年時には初の大学ジャパン候補になった。

 「足は速くなるし、肩は強くなる。打撃では飛距離も出て。何もかもが大学で伸びた。岐阜県にきて、ホントによかった」と菊池は中京学院大に感謝する。プロでの活躍がその恩返しになる。 (阿知波浩二)

 ▼菊池涼介(きくち・りょうすけ) 1990(平成2)年3月11日、東京都東大和市生まれの21歳。172センチ、70キロ、右投げ右打ち。東大和三中時代は硬式の少年野球「東大和シニア」に所属。武蔵工大二高(長野)に野球留学し、下級生から三塁手で中軸を務めたが、3年夏の長野大会4回戦で敗退し、甲子園経験はない。大学では1年春から三塁手としてリーグ戦に出場し、1年秋から遊撃手。2年の春に岐阜学生の3冠王、同年秋は打点、本塁打の2冠。

■149キロ剛球を誇る 東海学園大・田島

 肩の故障を乗り越えた東海学園大の右腕・田島慎二投手(21)もドラフト指名確実。中部大第一高時代は2年夏まで捕手で、投手経験は浅いが、最速149キロの剛球を投げ込むパワーピッチャー。愛知大学リーグではほとんど2部リーグ暮らし。2年春に1シーズンだけ1部リーグを経験しただけ。「専門の投手コーチの指導を高校、大学と受けたことがないから、プロで教えてもらえれば自分でもまだ“伸びる”という自信はある」。社会人のJR東海に就職が内定しているが、ドラフト指名されれば、プロ入りする決意。現時点では阪神の指名が濃厚だ。

(2011年10月21日 中日スポーツ11面より)
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