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2011.09.29
ヒト肝細胞 肝機能 培養で維持 名古屋大グループ
■病気研究に応用期待
本来、生体外に出すと機能が急激に失われてしまうヒト肝細胞の肝機能を体外で高度に維持することに、名古屋大大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らのグループが世界で初めて成功した。29日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジー」(電子版)で発表した。肝臓病研究、人工肝臓などへの応用が期待されるという。
肝臓は体内で3分の2以上を切除しても元の大きさに復活するが、肝細胞は一度体外に取り出して培養すると急激に肝機能を失い、維持が難しかった。このため、創薬の安全性試験などでは実験動物が使われてきた。
今回、小田准教授らは8種類の肝細胞をシャーレで立体的に「三次元培養」する方法を採用。すると、このうち日本人由来の肝細胞の1つ「FLC−4」が応答し、血中の主要タンパクのアルブミンや脂質代謝、薬物代謝などの肝機能が劇的に増強した。薬物代謝は人種差があることが知られているが、今回、日本人由来の肝細胞で成果が出た意義も大きいという。
小田准教授は「肝臓は需要の多い臓器ながら、これまでヒトの肝細胞を研究に用いることは極めて困難だった。今回の成果で、肝臓病の治療法として古くから期待されてきた人工肝臓や肝炎などの肝臓病の研究材料として利用することが可能になる」と話している。
(2011年9月29日 中日新聞夕刊3面より)
本来、生体外に出すと機能が急激に失われてしまうヒト肝細胞の肝機能を体外で高度に維持することに、名古屋大大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らのグループが世界で初めて成功した。29日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジー」(電子版)で発表した。肝臓病研究、人工肝臓などへの応用が期待されるという。
肝臓は体内で3分の2以上を切除しても元の大きさに復活するが、肝細胞は一度体外に取り出して培養すると急激に肝機能を失い、維持が難しかった。このため、創薬の安全性試験などでは実験動物が使われてきた。
今回、小田准教授らは8種類の肝細胞をシャーレで立体的に「三次元培養」する方法を採用。すると、このうち日本人由来の肝細胞の1つ「FLC−4」が応答し、血中の主要タンパクのアルブミンや脂質代謝、薬物代謝などの肝機能が劇的に増強した。薬物代謝は人種差があることが知られているが、今回、日本人由来の肝細胞で成果が出た意義も大きいという。
小田准教授は「肝臓は需要の多い臓器ながら、これまでヒトの肝細胞を研究に用いることは極めて困難だった。今回の成果で、肝臓病の治療法として古くから期待されてきた人工肝臓や肝炎などの肝臓病の研究材料として利用することが可能になる」と話している。
(2011年9月29日 中日新聞夕刊3面より)