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中日新聞掲載の大学記事

2011.06.02

陸上女子短距離界に速くてかわいいヒロイン誕生 中京大 市川華菜

■400メートルリレー日本代表アンカーで日本新に貢献

 中京大(愛知)から陸上女子短距離の新星が飛び出した。3年生の市川華菜(20)は、5月8日のゴールデングランプリ川崎女子400メートルリレーで日本代表のアンカーを務め、43秒39の日本新記録に貢献。同下旬に中国で行われたアジアGPのリレーメンバーとしても好記録を連発した。メディアから熱い注目を集めるビジュアル系スプリンターは、10日開幕の日本選手権(埼玉)で世界選手権(8〜9月、韓国・大邱)代表入りを確実にするため、走力を極限まで高める。

■今季急成長

 突如当てられたスポットライトの輝きにも増して、市川の充実ぶりは目覚ましい。「今季目標にしていたのは11秒5台。ここまでタイムが縮むと思わなかった」。自らの進化に目を丸くする。

 4月29日の織田記念100メートルは予選で11秒43。今季目標を軽く飛び越え、自己記録を更新した。日本記録保持者の福島千里(22)=北海道ハイテクAC=が負傷欠場した決勝は、追い風参考記録ながら11秒28の好タイムで日本人トップの2位に食い込み、エース不在の穴を埋めた。最も注目を集めたのはゴールデングランプリ川崎だ。市川は福島、高橋萌木子(富士通)、北風沙織(北海道ハイテクAC)から成る400メートルリレー日本Aチームのアンカーに抜てきされ、43秒39と日本記録を更新して優勝。世界選手権参加標準記録を切った。3月の陸連合宿ではBチームでの練習が中心だっただけに、市川も「Aチームに選ばれるとは思ってなかった」と驚きを隠さないが、ここ一番で力を発揮した。「日本を背負ったプレッシャーもあったけど、持っている力は出せたかな」と満足そうな笑みを浮かべる。

■スタート克服

 昨夏の世界ジュニア選手権女子200メートルで日本人として初めて決勝に進出して8位。“世界のファイナリスト”としての自信が、市川を本気にさせた。男子100メートル元日本記録保持者の青戸慎司コーチ(44)の指導で、冬場は徹底的に筋力面を鍛えた。体脂肪が減った半面、足の筋力は増加。「去年まで、スタート直後はみんなより後ろにいる感じだったけど、最近は前にいる感じ」。不得手だったスタートを克服し、タイムは大きく進歩した。

 走力とともにスポットを浴びたのは目鼻立ちのくっきりした美貌だ。5月中旬の東海学生選手権にはテレビ局3社が取材に訪れ、市川を追い続けた。「戸惑いだらけです」。市川は苦笑するが、重圧の中、同選手権100メートルは大会新で優勝。精神面でも優れていることを証明した。

 アジアGPでも福島、高橋とともに3戦すべてでメンバー入り。世界選手権代表の座はほぼ手中にしているが、日本選手権100メートルで上位に入り、確実に世界切符を手に入れたい。「(福島に)できる限りついていって、B標準(世界選手権派遣標準B記録=11秒38)を切りたい」。日本のエースへの道のりを歩き始めた20歳の視界には、明るい未来が映っている。 (斎藤正和)

市川華菜(いちかわ・かな)
1991(平成3)年1月14日、愛知県豊田市生まれの20歳。163センチ、48キロ。愛知・豊南中で陸上を始める。岡崎城西高3年時の全国高校総体女子100メートル7位、同200メートル4位。昨年の日本選手権は200メートルで5位。4月の織田記念で出した100メートルの11秒43、5月の静岡国際200メートルの23秒63は、ともに東海学生記録。

■ライバル今井もビジュアル系

 市川とは高校時代からのライバルでもある今井沙緒里(至学館大3年)も、リレー代表メンバー入りを目指している。アジアGP参加メンバーに入っており、日本選手権次第では世界選手権代表入りも見えてくる。今井も、市川に負けず劣らずのルックス。今後の成長によっては、愛知の美形ツートップが世界のスプリント界を席巻することになるかもしれない。

(2011年6月2日 中日スポーツ8面より)
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