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2011.02.08
液晶光学フィルム 接着剤使わず接合 20時間→1分
■中部大教授が開発 製造コスト大幅減
液晶テレビやパソコンなど幅広い分野で使われているモニター用光学フィルムの製造工程で、接着剤を使用せずにガラスと樹脂フィルムを接合させる技術を中部大の多賀康訓教授(66)が開発した。生産プロセスの簡略化で大幅なコスト低減が図られるとともに、より軽量で薄い液晶の製造が可能になる。国際特許が既に公開された。
光学フィルムは、偏光や反射防止などさまざまな機能を持つフィルムと極薄のガラスを貼り合わせて製造する。液晶テレビでは約20枚が使われ、太陽光発電パネルなどでも主要部材となる。
フィルムとガラスをアクリル性の接着剤で貼り合わせる従来の工程では、接着剤の成分を20〜30時間かけて乾燥させるラインが必要で、生産コストを増やす要因になっていた。
新技術では、シランカップリング剤と呼ばれる有機金属化合物と、水素の化学反応による結合作用に着目。フィルムとガラスをそれぞれプラズマ処理した後、気化させたカップリング剤を吹き付け、貼り合わせたところ1分間ほどで完全に接合することが分かった。この工法が実現すれば、1平方メートル当たり1万円とされる生産コストの約4割を削減できるという。
実験では接着剤で貼り合わせた場合と同等の耐久性があることを確認。接着面の厚さは数ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)で、従来の100分の1以下だった。
開発には、光学フィルム大手の「日本ゼオン」(東京)などメーカー3社も協力。早ければ2013年にも新技術に対応した生産ラインが稼働する。
多賀教授は「光学フィルムの生産プロセスを根本から変える技術。薄くて軽くなる上、映像がより鮮明となるといった光学性能の向上も期待でき、究極の接着方法と言える」と話している。
■安田清和名古屋大講師の話
シランカップリング剤を気化させて使っているのが非常にユニークで、理論的には強固な接合が可能。実用化されれば生産現場での加熱プロセスが不要となり、環境性の向上にもつながる。
(2011年2月8日 中日新聞朝刊27面より)
液晶テレビやパソコンなど幅広い分野で使われているモニター用光学フィルムの製造工程で、接着剤を使用せずにガラスと樹脂フィルムを接合させる技術を中部大の多賀康訓教授(66)が開発した。生産プロセスの簡略化で大幅なコスト低減が図られるとともに、より軽量で薄い液晶の製造が可能になる。国際特許が既に公開された。
光学フィルムは、偏光や反射防止などさまざまな機能を持つフィルムと極薄のガラスを貼り合わせて製造する。液晶テレビでは約20枚が使われ、太陽光発電パネルなどでも主要部材となる。
フィルムとガラスをアクリル性の接着剤で貼り合わせる従来の工程では、接着剤の成分を20〜30時間かけて乾燥させるラインが必要で、生産コストを増やす要因になっていた。
新技術では、シランカップリング剤と呼ばれる有機金属化合物と、水素の化学反応による結合作用に着目。フィルムとガラスをそれぞれプラズマ処理した後、気化させたカップリング剤を吹き付け、貼り合わせたところ1分間ほどで完全に接合することが分かった。この工法が実現すれば、1平方メートル当たり1万円とされる生産コストの約4割を削減できるという。
実験では接着剤で貼り合わせた場合と同等の耐久性があることを確認。接着面の厚さは数ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)で、従来の100分の1以下だった。
開発には、光学フィルム大手の「日本ゼオン」(東京)などメーカー3社も協力。早ければ2013年にも新技術に対応した生産ラインが稼働する。
多賀教授は「光学フィルムの生産プロセスを根本から変える技術。薄くて軽くなる上、映像がより鮮明となるといった光学性能の向上も期待でき、究極の接着方法と言える」と話している。
■安田清和名古屋大講師の話
シランカップリング剤を気化させて使っているのが非常にユニークで、理論的には強固な接合が可能。実用化されれば生産現場での加熱プロセスが不要となり、環境性の向上にもつながる。
(2011年2月8日 中日新聞朝刊27面より)