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中日新聞掲載の大学記事

2010.12.04

名古屋外大が費用全額補助 学生に「留学のススメ」

 名古屋外国語大(愛知県日進市)は来年秋にも、海外の大学に留学する学生に人数制限なしで全費用を補助する制度をスタートさせる。学生が留学を志さない傾向に歯止めをかける目的を持つ。大学は「全国初の試みでは」と説明し、少子化の中、特色を打ち出す狙いもある。

■「内向き志向変えたい」

 補助は、往復の航空費をはじめ留学先の授業料、教科書代、居住費、保険料、ビザ代などを合計した標準的な必要費用を算出して支給する。1人当たりの補助額は平均150万〜180万円となる。

 申し込む可能性のある学生は現在、150人ほどいる。今も留学する学生に費用の一部を補助しているが、少なくとも年間5000万円の負担増を見込む。

 英語の検定試験「TOEFL」で500点以上を取ることが条件。欧米の大学が留学を受け入れる基準に挙げるラインだ。留学先は米国、英国、フランス、オーストラリア、中国、韓国など提携する11カ国の61大学から選び、補助期間は6カ月から1年。

 制度新設の背景にあるのは、海外に出たがらない学生の内向き志向。「流れに歯止めをかけ、学生が外向き志向になるように働きかけたい」(恒川孝司事務局長)と説明する。

 留学雑誌を手がけるトゥモロー(東京)によると、日本人留学生は2004年以降、年々減少。04年が13万人だったのに対し、09年には10万人を割り込んだとみられている。水谷修学長は「海外に出る学生が減り、20〜30年後の日本が心配。資金的に永久にできるかは分からないが、できる限り続けたい」と話す。

 名古屋外国語大は、外国語学部、国際経営学部、現代国際学部を持つ。国際コミュニケーション研究科(大学院など)、留学生別科もある。学部の学生数は約3500人。毎年500〜600人の学生を海外に派遣する一方、200人近い外国人留学生を受け入れている。

■差別化も狙う 他大学でも制度拡充

 各大学でも、海外留学制度を充実させる動きは広がっている。ホームページなどによると、愛知学泉短大(愛知県岡崎市)は、カナダや中国、韓国へ留学する計7人を対象に相手大の授業料やホームステイ滞在費免除や往復交通費支給などを打ち出す。名古屋商科大(同県日進市)も授業料を免除したり、渡航費を支給したりしている。

 このように、学生の留学・渡航費を補助する大学はあるが、人数制限なしで必要となるほぼ全費用を支給する取り組みは異例だ。日本私立学校振興・共済事業団の担当者は「あらかじめ留学費用を学費に組み込むのでなく、大学側が丸ごと負担する名古屋外国語大の制度は聞いたことがない」と話している。

(2010年12月4日 中日新聞夕刊11面より)
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