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中日新聞掲載の大学記事

2010.12.03

中日新聞社賞 多機能も肌触り維持 V―CATファミリー・中部大学

■可視光応答型光触媒V−CATを用いた高機能繊維

 衣服に染み付いた汗やたばこの臭いを抑え、汚れや雑菌も防ぐ−。紫外線はもとより、蛍光灯などの可視光を浴びるとさまざまな機能を発揮する光触媒「V−CAT」を用い、生活や仕事に役立つ高機能繊維が開発された。開発したのは繊維関係メーカーなど9社で構成する「V−CATファミリー」と中部大学。9社はV−CATを開発した豊田中央研究所と豊田通商、豊通ユニファッション、東海染工、小松精練、艶金興業、日本毛織、倉敷繊維加工、日清紡ホールディングス。

 製品化に向けた研究は2003年に始まった。各社は豊田中研からV−CATの粉末を受け取り、繊維への付着実験を重ねたが、最初は「繊維の色が変わってしまった」「洗濯で粉末が落ちてしまう」と失敗の連続。粉末をどの程度の大きさにするか、接合剤に何を用いるかなど微妙な調整が求められた。

 消臭などの機能は取り入れつつ、肌触りやデザイン性を維持することにも腐心。繊維の種類によって付着の条件も変わるため、製品化までに3年かかったケースもあった。

 用途は徐々に広がり工場や介護施設、コンビニなどの制服にも採用。中部大が今年、ウイルスを不活性化させる機能を確認、新型インフルエンザ予防という魅力も加わった。

(2010年12月3日 中日新聞朝刊5面より)
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