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お知らせ  2025.12.04

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48年前の工場火災をメタバースで再現へ 疑似体験生かし 防災教育を

プロジェクトを説明する学生=羽島市福寿町で

プロジェクトを説明する学生=羽島市福寿町で

■岐阜女子大と長谷虎紡績が共同研究

 羽島市の繊維業「長谷虎紡績」と岐阜女子大(岐阜市)は2日、48年前に長谷虎紡績の工場で発生した実際の火災をモデルケースに、仮想空間(メタバース)を構築する共同研究「防災テキスタイルプロジェクト」を開始した。体験的な学習を通じて、企業や地域での防災教育に役立てたい狙い。(瀬里崎蒼馬)

 再現するのは平方工場(羽島市福寿町)で1977年3月7日に発生した火災。工場内の機器から出火し、死傷者はいなかったが、敷地内の原料倉庫など計5棟約7千平方メートルが全焼した。

 プロジェクトでは、同大文化創造学部の横山隆光教授とサークル「メタバースクラブ」の学生4人が中心となり、平方工場を3Dモデル化して仮想空間を構築する。

 仮想空間内では、音響や映像で火災の被害を伝えつつ、人工知能(AI)も活用し、火災対応を疑似体験できるようにする。火災がどのように広がるのかを把握するとともに、初期消火や避難の重要性を参加者が動きながら理解できる仕組みづくりを目指す。多言語対応にすることで外国人の利用も想定する。

 完成は火災発生50年の節目となる2027年3月ごろ。構築した仮想空間は一般公開され、教育機関や地域の研修などで活用を見込む。

 長谷虎紡績の平方工場で2日、同社の長谷享治社長と岐阜女子大の高口努学長が共同研究に向けた覚書に署名。仮想空間での再現について、長谷社長は「会社の存続にも関わるほどの火災だった。今は当時を知らない人も多く、過去の災害を風化させたくない思いがある」と意図を説明する。

 同大大学院2年の左高結衣さんは「防災とメタバースの組み合わせは私たちも初めての取り組み。体験者がどう感じるのかを大切にしながら制作をしていく」と力を込める。

(2025年12月4日 中日新聞朝刊岐阜近郊版より)
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