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学生活動 2025.03.16
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紙芝居で迫る 桶狭間の戦い 豊明・桜花学園大生制作 6月に披露へ

制作中の紙芝居のイラストを紹介する学生たち=豊明市の桜花学園大で
■信長と義元を丁寧に描写、 「謎」の新説も
紙芝居は12年前に豊明高校イラストレーション部が制作し、「とよあけ桶狭間ガイドボランティア」が毎年、古戦場まつりで上演してきた。ただ古くなったり、戦いの研究が進んだりしたことから、ボランティアが同大へ“2代目”の制作を依頼。絵の得意な5人が手を挙げた。
デジタル紙芝居で27ページを予定。義元が尾張国に攻め込むとの報が入り、慌てる家臣と冷静に迎え撃とうとする信長の描写から始まる。信長を担当する3年の山田侑果さんは「信長が意外と若かった(27歳)ことを知らなかった。威厳があり厳しいというイメージだけど、優しい表情も描きたい」と話す。義元を手がける3年の横井水葉さんは「悪者のイメージがあったけど、単純化せずに上品さを加えるなどしている。人物像が伝わるように工夫できたら」と思い描く。
桶狭間の戦いにはいまだ謎が多い。信長の「迂回(うかい)奇襲説」や「正面攻撃説」があるほか、義元の本陣の位置は現在の名古屋市緑区か豊明市かで意見が分かれている。また、義元は戦いの最中に酒宴を開いたとされ、その理由も謎の一つ。紙芝居の文を書いた郷土史家の太田輝夫さん(81)=大府市=は「すべては信長の謀計だった」とみる。
「桶狭間合戦 奇襲の真実」など複数の著書がある太田さんは、「松平記」「信長公記」など多数の資料を論拠に、「義元は信長の首を取ったと勘違いし、浮かれていた」との説を披露。酒も信長が家来を農民に変装させて届けさせたと考え、2023年に出版した「信長の謀計」で詳しく解説した。紙芝居には新たにこの説を盛り込んだ。
2月5日に同大であった打ち合わせでは、学生たちがイラスト案をボランティアのメンバーたちに見てもらい、遠近感や色などの細かい注文を受けた。制作しているのは、ほかにいずれも3年の松本碧依さん、吉田遥歌さん、1年の前川愛実さん。前川さんは「城や歴史が好きなので参加した。歴史に忠実に、きちんとした紙芝居を作りたい」と話す。太田さんは「魅力ある桶狭間の戦いについて、広く知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
(2025年3月16日 中日新聞朝刊県内版より)