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学生活動  2025.01.30

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仕込みから販売 酒造り現場体験 マーケティング学ぶ中部大生 手応え

 中部大(春日井市)でマーケティングを学ぶ経営情報学部3年生が富山県の酒蔵で仕込みに挑戦した純米吟醸酒「雪代(ゆきしろ)」が完成した。清水真教授(52)のゼミの授業の一環で行い、2年目の取り組み。卒業後に企業での営業や商品開発などに携わる際に生かせるよう、生産現場を体験してもらう狙いだ。これから就職活動に臨む学生たちは「どのような過程で造られたのかを実際に知ることができたのは将来の仕事に役立つ」と確かな手応えを感じている。(牧真一郎)

■来月 春日井で店頭に 生産の苦労実感「将来の仕事に役立つ」

 3年生14人が昨年11月16、17日に富山市婦中町の吉乃友酒造で杜氏(とうじ)の仕事を行った。米を洗う、蒸す、酵母をかけるなどの一連の工程を体験。同酒造での作業は一昨年に続き2回目だが、「今回の学生はさらにたくさんの作業をやった」(清水さん)という。

 学生は商品企画や販売促進などのマーケティングを学んでいるが、なぜ「現場」なのか。「営業ではモノづくりをする側の思い入れを知り、商品への感謝を持つことが大切。買ってほしい、売ってほしい、という気持ちでつながる」と清水さん。営業の仕事で生産側との話し合いもあり、その際に現場を知っているかどうかは大きいという。

 品質の良い特産品をPRして、地域を盛り上げる社会貢献活動を体験することも狙いの一つだ。酒には、富山県が開発した酒造好適米「富の香」を使用。酵母は、リンゴの花から採り、ほのかな甘さが特徴の同県食品研究所の「魚津林檎(りんご)花酵母」、仕込み水には立山連峰に降った雪が長い年月をかけてしみこんだ地下水を使い、地場にこだわった。香り良く、すっきりした酸味のある酒に仕上がった。

 仕込みを体験した込山和弥さん(21)=春日井市大留町=は卒業後、小売業で販売や商品開発の仕事に就くつもりだ。「米を洗う際に水を含んだ米の重さに驚いた。大変な作業だと分かった。将来の仕事に役立つと思う」と実感を込めて振り返る。

 日本の「伝統的酒造り」は昨年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。糸魚川未怜(みれ)さん(20)=岐阜県中津川市=は「日本の文化に触れることができ、職人が少なくなっている現状も分かった」と体験から学んだ。地元の市役所への就職を目指しており、「市役所では地元の企業と一緒にやったりすることも増えており、この経験を生かしたい」と話す。

 完成した「雪代」は2月1、2日午前10時~午後1時、春日井市瑞穂通5のスーパー「清水屋春日井店」で販売される。仕込みに携わった学生も客の反応などを現場で知るために立ち会う。ラベルは前年のゼミ生がデザインし、リンゴ形のイヤリングをした女性をあしらっている。価格は720ミリリットルが1903円、180ミリリットルが572円。

(2025年1月30日 中日新聞朝刊近郊版より)

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