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お知らせ  2024.07.24

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いつ110番? 留学生理解深める 岐阜県警 三者通話で15言語の通報に対応

110番通報を体験する留学生(左)=瑞穂市穂積の朝日大で

110番通報を体験する留学生(左)=瑞穂市穂積の朝日大で

■朝日大で訓練 「英語と日本語混じりでいいよ」

 岐阜県内の在留外国人数が年々増える中、あわせて増加しているのが外国人からの110番通報だ。県警は通訳を介した「三者通話」を導入し、多様な言語からの通報に対応している。瑞穂市穂積の朝日大で今月、留学生約20人が県警による訓練に参加。適切な利用方法に理解を深めたり、実際に通報を体験したりした。(菅谷仁志)

 訓練は朝日大が県警に依頼して16日に開催。県警の担当者がどんなときに110番を使えばよいかについて講話し、泥棒を見つけたり、交通事故に遭ったりといった緊急の場合は110番し、落とし物の届け出など急ぎではないものは警察署や交番に電話するか、直接訪ねるように呼びかけた。

 バングラデシュ出身のワヒドゥッザマンさん(22)は今月、自転車で走行中にトラックのドアにぶつかってけがをしたが、相手の運転手が「警察はいい」と説明したため、通報しなかったという。「自分の行動は違っていた」と反省していた。

 講話後は、「長良川でおぼれた人がいる」などさまざまな状況を想定し、留学生らが110番を体験。電話に出た通訳担当の警察官とやりとりしながら「どこにいるか」「今も流された人はいるか」といった質問に答えた。

 県警が110番での通訳に対応するのは15言語。通報者の第一言語が含まれない場合、英語などを使う必要がある。今回の訓練には、15言語に含まれないベンガル語が公用語のバングラデシュ出身の学生も参加。県警の担当者らは「英語と日本語混じりで構わない」と伝えた。

 一方、ベトナム出身のブイ・ゴック・ビックさん(19)は、警察官の発音が聞き取りづらく、質問の意味が分からなかったとして「簡単な日本語を使ってもらった方が分かりやすかった」と話した。県警によると、ベトナム語は声調が複雑で、対面では通じても、電話ではうまく伝わらない場合もあるという。

 県警によると、現状では三者通話を使う事例は多くない。発信元の位置情報が通知される仕組みがあるため、すぐ現場に向かえるからだ。ただ、高山市のホテル密集地域など、発信場所の特定が難しいケースでは、通話で情報を得ることが重要だとする。

 出入国在留管理庁によると、県内の在留外国人数は23年12月末時点で約7万人。新型コロナウイルスの感染拡大前の人数を上回っている。県警通信指令課によると、外国人からの110番も年々増加。23年は1551件と前年から279件増え、24年も前年を上回るペースだ。県警は「三者通話を使う機会は今後増えていく」としている。

(2024年7月24日 中日新聞朝刊岐阜近郊版より)

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