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中日新聞掲載の大学記事

学生活動  2021.09.28

「鯨船」 データ化 着々 本年度中に図面完成

鯨船の装飾品を測量する学生ら=四日市市富田で

鯨船の装飾品を測量する学生ら=四日市市富田で

 「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の1つとして国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されている四日市市富田地区の「鳥出神社の鯨船行事」の保存継承のため、市教委が鯨船の測量と図面のデータ化に取り組んでいる。2019年度から始まり、本年度で4つある鯨船全てのデータがそろう予定。23~25日には、協力する三重大の学生らが富田地区を訪れ、装飾品の寸法を記録した。(片山さゆみ)

■四日市の伝統継承へ三重大生ら

 行事は江戸時代後期に始まったとされ、張りぼての鯨と仕留めようとする鯨船との攻防が繰り広げられる。毎年8月14、15日に営まれ、昨年と今年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった。

 19年度は北島組の神社丸、20年度は南島組の感應(かんおう)丸と古川町の権現丸の実測とデータ化を行い、本年度は中島組の神徳(じんとく)丸の記録に取り掛かっている。

 神徳丸の山車蔵前で作業し、三重大工学部建築学科の4年生4人と、大学院工学研究科建築学専攻の院生4人が参加した。装飾品1つ1つに記録用のタグを付け、模造紙の上に置いて形を写し取ったり、写真を撮ったりした。

 学部生の広瀬達也さん(21)は「文化財の保存に関われて誇らしい。大工が造った様子を想像しながら作業すると楽しい」と話した。

 大井隆弘助教(37)は「建築物と違って曲面や細かい部材があって複雑だが、学生には良い経験になる」と話していた。

 地元の中島組神徳丸保存会も協力した。加藤正彦顧問(67)は「これまで正確に記録した図面がなかったので、後世に残す上で意義がある。修理時の元データにも使える」と歓迎した。

 完成した図面は「鳥出神社の鯨船行事」公式ホームページで公開する。市教委は、有形・無形双方の記録を残すため、祭り行事の映像化にも取り組んでいる。

(2021年9月28日 中日新聞朝刊広域三重版より)

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