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お知らせ  2021.09.16

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争いの主要因は人口増 弥生時代の九州の調査分析 南山大グループ発表

 南山大の中川朋美博士研究員(考古学・人類学)と中尾央准教授(哲学)らのグループは、弥生時代中期(紀元前350~紀元後30年)に九州北部で起こった争いについて、従来の発掘調査の報告書などを分析し、人口増加が大きな要因となったと結論付けた。吉野ケ里遺跡(佐賀県)などから出土した墓の数を基に試算した集落ごとの人口密度と、争いで傷ついた人骨数を比べて推定した。 (出口有紀)

 成果は、米考古学専門誌「ジャーナル・オブ・アケオロジカル・サイエンス」オンライン版に掲載された。

 グループは、まず福岡平野などを含む約500平方キロメートルを対象に、遺跡約320カ所の発掘調査報告書などから、弥生時代の墓「甕棺(かめかん)」を調査。甕棺は遺体を納めるためのかめ型のひつぎで、高さ80センチ、直径60センチほど。通常は2つを組み合わせて遺体を埋葬する。かめの中に入れられているため、人骨が良好な状態で残されており、矢尻や石の剣などによる傷痕も特定しやすい。

 その結果、甕棺約1万個と、争いによる傷が残る人骨約50体を割り出した。続いて、対象地域を部族集団が形成されていた集落ごとに6つに分け、甕棺の形の違いにより弥生時代中期を6つの時期に分類。各地域の甕棺数を人口とし、傷が残る人骨から争いの頻度を推定した。

 その結果、多くの地域で住民が増えて人口密度が高まると、傷がある人骨も増える傾向にあり、部族間の争いなどが激しくなったと考えられた。

 中川博士研究員と中尾准教授は「人口密度が高まると、『人口圧』と呼ばれるストレスが高まり、争いが起こりやすいということを、発掘調査のデータなどを統計的に分析することで示せた。現代でも戦争は絶えないが、どう争いを抑えられるかも考えられるのではないか」と話す。

(2021年9月16日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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