１０３９人分の卒業生へのメッセージに直筆でサインする亀山学長＝日進市の名古屋外国語大で

　新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、名古屋外国語大（日進市）は２２日に予定していた卒業式を中止した。代わりに亀山郁夫学長が計１０３９人の卒業生と大学院修了生へ向け、メッセージ一つずつに直筆でサイン。卒業証書とともに郵送した。

　同大では毎年、卒業式で亀山学長が卒業生へのメッセージを読み、印刷物として卒業生らに渡している。だが、今年は印刷物の郵送のみという形になってしまった。そこで、亀山学長は「自分の分身である文字を通して、血の通ったものを学生たちに贈りたい」と、直筆サインを思い付いたという。

　メッセージでは、新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）化で、「差別」という別のウイルスも拡散していることに触れ、他者への共感力と批判的思考力を養い、異なる他者を自分の心のなかに溶かし込む力を手に入れてほしい、と呼び掛けている。

　約４時間かけて、全てのメッセージにサインを入れた亀山学長は「こんな状況だからこそ、考えるチャンスなのだと学生に伝えたい」と力強く話していた。（平木友見子）

（2020年3月24日　中日新聞朝刊なごや東版より）