進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 学生活動

中日新聞掲載の大学記事

学生活動  お知らせ  2019.12.10

この記事の関連大学

医学生も傾聴力磨く 愛知医科大、患者を模擬診察

 医療系大学も学生の接遇力向上に余念がない。その1つが、医療面接(模擬診察)だ。医療面接は診察や手術の説明、がんの告知などさまざまな場面を想定。模擬患者とのやりとりを通して、言葉や態度で共感を表したり、専門用語を分かりやすく言い換えて説明したりすることを実習する。

 愛知県長久手市の愛知医科大は、2004年から医療面接の授業を始めた。患者役を務めるのは同大病院の患者ら県内の約60人。年4回の勉強会でシナリオに応じた演技や受け答えを練習した上で、学生との授業に臨む。学生にとっては教員らを相手にするのと違って臨場感がある。同大では1年生から学生同士によるコミュニケーション実習を始め、2年生の時点で模擬患者との面接を実施。6年生まで毎年30時間以上を医療面接に充てる。

 診察の目的は病名を突き止めることだが、それには誠実に話を聞く傾聴が大事という。「○○です」と自己紹介をして親近感を持ってもらったら、「急にやせた」「頭が痛い」「動悸(どうき)がする」などという患者の声を、「それはおつらいですね」など相づちを打ちながらひたすら聞く。患者が話し終えたら、そこから詳しく質問をする。1つの診療にかける時間は約10分だ。指導する同大医学部シミュレーションセンター講師の川原千香子さん(54)は「敬語が使えず、目を見て話せない学生もいる。早くから人と接する経験を積んだ方がいい」。難しい病気を宣告する時は「大切なお話があります」と心の準備をしてもらうのも大事という。

 全国の医・歯学部で、病院実習前の4年生を対象にした医療面接「客観的臨床能力試験(OSCE、オスキー)」が必須になったのは05年だ。同大医学教育センター長で総合診療医の伴信太郎さん(67)は「現場にこうした教育を受けた医師が増えれば患者とのトラブルは減る」と期待する。

 「例えば『手術後の生存率は○△%』など医学的には正しいことを伝えても、患者が望むことと違えば『心ない言葉』と受け止められる例もある」と川原さん。「それをカバーするのが接遇。きちんとコミュニケーションを取って、患者や家族の気持ちに寄り添える医療人になってほしい」

(2019年12月10日 中日新聞朝刊23面より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ

各種お問い合わせ この大学のHPを見る