HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > お知らせ
お知らせ 2020.02.19
この記事の関連大学
DNA1本だけ切断、安全 ゲノム編集 愛知医大が新手法
生物の遺伝子を狙い通りに書き換えるゲノム編集技術で、DNAの配列が狂い、細胞のがん化などにつながるエラーを少なくする方法を、愛知医科大(愛知県長久手市)の小西裕之特任教授、兵頭寿典講師らのグループが新たに考案した。二重らせん構造のDNAの1本のみを切る手法で、2本とも切る従来の手法に比べてエラーを大幅に抑えられるという。
ゲノム編集による遺伝子書き換えは、切断されたDNAが修復しようとする仕組みを利用している。病気などの原因となる特定部分を「はさみ」の役割を持つ酵素で切断。そこへ書き換えたい遺伝子配列を含む人工のDNAをあてがい、その情報を参考に修復させることでDNAを書き換える。
DNAを2本切る従来の方法は、切った部分の配列が狂うなどのエラーが起きやすく、人間の大腸がん細胞ではその割合が約7割に。エラー部分が新たながん化のリスクを負うため、医療応用で欠かせない安全面の課題が指摘されている。
1本のみ切る今回の方法では、大腸がん細胞で起きる書き換えエラーの割合を3%程度に抑えることができ、他の細胞の実験でも同様にエラーを減らす結果が得られた。正しい遺伝子配列を保存しているもう1本のDNAが、エラーを防いでいるためと考えられる。
研究成果は米科学誌セル・リポーツに掲載された。小西特任教授は「安全性の高いゲノム編集技術として医療などへの応用を探りたい」と話している。
(2020年2月19日 中日新聞朝刊25面より)
ゲノム編集による遺伝子書き換えは、切断されたDNAが修復しようとする仕組みを利用している。病気などの原因となる特定部分を「はさみ」の役割を持つ酵素で切断。そこへ書き換えたい遺伝子配列を含む人工のDNAをあてがい、その情報を参考に修復させることでDNAを書き換える。
DNAを2本切る従来の方法は、切った部分の配列が狂うなどのエラーが起きやすく、人間の大腸がん細胞ではその割合が約7割に。エラー部分が新たながん化のリスクを負うため、医療応用で欠かせない安全面の課題が指摘されている。
1本のみ切る今回の方法では、大腸がん細胞で起きる書き換えエラーの割合を3%程度に抑えることができ、他の細胞の実験でも同様にエラーを減らす結果が得られた。正しい遺伝子配列を保存しているもう1本のDNAが、エラーを防いでいるためと考えられる。
研究成果は米科学誌セル・リポーツに掲載された。小西特任教授は「安全性の高いゲノム編集技術として医療などへの応用を探りたい」と話している。
(2020年2月19日 中日新聞朝刊25面より)