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お知らせ  学生活動  2019.12.05

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米国見本市 県が学生派遣

「耳コピ」アプリの試作品を紹介する久野さん=名古屋市中区で

「耳コピ」アプリの試作品を紹介する久野さん=名古屋市中区で

■久野さん ジャズ「耳コピ」支援アプリ 長曽我部さんら 特殊繊維で虫よけシャツ

 来年3月に米国テキサス州の州都オースティンで開かれる国際見本市「サウス・バイ・サウスウエスト」(SXSW)に、中京大大学院修士1年の久野文菜さん(22)と、岐阜大と愛知工業大の学生によるチームの2組が県から派遣されることが決まった。SXSWは最先端のサービスや技術が集まる年に一度の大イベント。学生たちは「たくさんの人に評価してもらうチャンス」と意気込んでいる。 (森若奈)

 県はテキサス州と結んだ友好交流と相互協力に関する覚書に基づき、2018年度から渡航費や出展料を負担して県内の学生をSXSWへ派遣する事業を始めた。先端分野で市場開拓を目指す「スタートアップ企業」が集まる本場の空気に触れ、切磋琢磨(せっさたくま)してほしいとの狙いがある。

 久野さんが今回出展するのは、ジャズ演奏者が曲を耳で聴いてコピー演奏する「耳コピ」の支援アプリ。自由な演奏が魅力のジャズは、クラシック音楽のような譜面がない。久野さんはジャズピアノを高校から始め、気に入った曲を覚える時は、ゆっくり再生し、自分のパートに耳を澄ませる練習を繰り返してきた。

 こうした手間を解決したいと、大学院で学んだ人工知能(AI)など情報工学の知識と、独学で身に付けたプログラミングでアプリの開発に挑戦。さまざまな楽器が登場する曲からドラムやトランペットの音を分離するのに成功した。音域が広く分離が難しいギターやピアノの音も、AIの力で分離を目指している。

 現在は独立行政法人「情報処理推進機構」の補助金を得て開発を進めている。たて琴の名手として知られるギリシャ神話のオルフェウスと、楽譜を理解するという意味のフランス語「ソルフェージュ」を合わせ、アプリを「オルフェージュ」と名付けた。久野さんは「アプリをウェブで公開した上でSXSWに臨み、宣伝につなげたい」と話す。

 ほかに長曽我部竣也さん(22)=岐阜大4年、吉川大貴さん(22)=愛知工業大4年、沢田里奈さん(21)=岐阜大3年=の3人によるグループも派遣される。長曽我部さんが所属する研究室で開発した特殊な化学繊維を活用し、虫を寄せ付けないシャツを作る試みだ。途上国での感染症対策用品として需要を見込む。

 長曽我部さんは「日本でも2014年、蚊が媒介するデング熱が問題になった。研究を事業化し、社会に役立てたい」と語った。

■サウス・バイ・サウスウエスト 1987年に音楽イベントとしてテキサス州オースティンで始まった。音楽や映画、最新技術の国際見本市に発展し、毎年3月に開催されている。過去に出展された短文投稿サイト「ツイッター」や民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」によって世界的に注目を集め、スタートアップ企業の登竜門として知られる。東京大も、大学関連のスタートアップを派遣する事業「Todai To Texas」を実施している。

(2019年12月5日 中日新聞朝刊県内版より)

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