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2010.04.04
愛知大学野球 今秋ドラフト候補が開幕戦で激突 中部大 石川 投げ勝った
春季リーグ戦が開幕した。中部大は今秋のドラフト候補右腕・石川歩投手(4年)=滑川=が、同じくドラフト候補の中京大・上杉芳貴投手(4年)=豊田西=との投げ合いを制し、3−1で先勝した。昨秋は10戦全敗だった愛工大は、昨秋優勝の愛大に9−1で勝ち、2008年春以来となる1部での勝利を挙げた。
■内容不満も1失点完投
決して万全の状態ではなかったが、それでも勝つのがドラフト候補らしい。184センチの長身右腕、中部大・石川が開幕戦で1失点完投勝利。しかも、やはりプロが注目する中京大・上杉との投げ合いとなった開幕戦だけに、価値は大きい。
「上杉のことより、相手の打線がすごいので、そっちを意識した。僕自身は全然ダメでしたけど、悪いなりに球を低めに集められたと思う」
3月中旬に左太ももを痛めた影響で、十分な準備ができないまま臨んだ開幕戦。序盤から毎回、安打を許す苦しい投球が続いた。最速146キロを誇る直球もこの日は130キロ台後半が中心。だがオフに徹底して走り込み、足腰を鍛え上げた。「納得する球は1球もなかった」というが、シンカーを効果的に使って、打たせる投球で危なげなく投げきった。
「走者がいても落ち着いていた。調子が悪いことを表情に出さないように心掛けた」と振り返った通り、冷静だった。
瑞穂球場のスタンドにはプロのスカウトが詰め掛けた。3人態勢で熱視線を送った地元・中日の中田スカウト部長は「きょうは良くなかったが、力のある球を投げられる。腕の振りもいいし、天性のものがある」と高評価。ソフトバンク・山崎スカウトも「体格はいいし、魅力はある。きょうは抜いた球をうまく使っていた」と話した。
石川は「きょうはあまり見てほしくなかった」と苦笑いしたが、「(プロについて)意識も少しはあるけど、今は優勝して明治神宮大会に出たい。そうなれば、結果(ドラフト指名)も付いてくる」とまずはリーグ戦に集中する。2年時に大学ジャパン候補に選出され、一気に注目を集めた右腕もついに最終学年。上杉とのドラフト候補対決に競り勝って、チームと同様に幸先よくスタートした。 (麻生和男)
■中京大・上杉 清水1人にやられた
中京大の上杉は中部大の5番・清水に全3打点を献上したことを悔やんだ。「同じ打者に打たれてしまったのが反省点。力んで、フォームを崩してしまった」と肩を落とした。石川とのドラフト候補対決については「多少は意識したけど、自分なりに抑えることを心掛けた」という。「しっかり切り替えたい。このままでは終われない」とすぐに前を向いていた。
▽1回戦(中部大1勝)
中部大 100000020―3
中京大 000001000―1
■愛工大4季ぶり白星
昨秋は10戦全敗の愛工大が秋春連覇を狙う愛大に、大量8点の差をつけて勝った。1部での勝利は実に4季ぶり。奥田好弘監督(47)は「特に感慨はありませんけど…」と照れ笑いしながらも、久々の勝利を喜んだ。
4年生と、入学したばかりの1年生が、がっちりとかみ合った。先発・長瀬が1失点完投し、遊撃の荻野が3回のピンチで好守を見せるなど4年生が貫禄(かんろく)を示せば、スタメン出場した増川、林の両1年生も早速、初安打。4回に適時三塁打を放った林は昨年の愛工大名電の5番打者。「先輩が作ってくれたチャンスを生かしたかった。試合に出られたことがうれしい」と声を弾ませた。
中心選手である藤川がけがのため不在。復帰までもうしばらくかかりそうだが、既存の戦力と新人の融合がチームを勢いづけそうだ。奥田監督は「手応えはある。十分、1部でもやれると思う」と自信をのぞかせた。
■愛大は決定打欠く
昨秋優勝の愛大は毎回のように走者を得点圏に進めながらあと1本が出なかった。八田監督は「粘りきれなかった。ここぞという時に流れが向こうに行った」とさばさばした様子で振り返った。だが中日に育成枠入団した赤田の後釜としてマスクをかぶった1年生・松本が2安打デビュー。明日以降につながる明るい話題もあった。
▽1回戦(愛工大1勝)
愛工大 100440000―9
愛大 000000010―1
(2010年4月4日 中日スポーツ12面より)
■内容不満も1失点完投
決して万全の状態ではなかったが、それでも勝つのがドラフト候補らしい。184センチの長身右腕、中部大・石川が開幕戦で1失点完投勝利。しかも、やはりプロが注目する中京大・上杉との投げ合いとなった開幕戦だけに、価値は大きい。
「上杉のことより、相手の打線がすごいので、そっちを意識した。僕自身は全然ダメでしたけど、悪いなりに球を低めに集められたと思う」
3月中旬に左太ももを痛めた影響で、十分な準備ができないまま臨んだ開幕戦。序盤から毎回、安打を許す苦しい投球が続いた。最速146キロを誇る直球もこの日は130キロ台後半が中心。だがオフに徹底して走り込み、足腰を鍛え上げた。「納得する球は1球もなかった」というが、シンカーを効果的に使って、打たせる投球で危なげなく投げきった。
「走者がいても落ち着いていた。調子が悪いことを表情に出さないように心掛けた」と振り返った通り、冷静だった。
瑞穂球場のスタンドにはプロのスカウトが詰め掛けた。3人態勢で熱視線を送った地元・中日の中田スカウト部長は「きょうは良くなかったが、力のある球を投げられる。腕の振りもいいし、天性のものがある」と高評価。ソフトバンク・山崎スカウトも「体格はいいし、魅力はある。きょうは抜いた球をうまく使っていた」と話した。
石川は「きょうはあまり見てほしくなかった」と苦笑いしたが、「(プロについて)意識も少しはあるけど、今は優勝して明治神宮大会に出たい。そうなれば、結果(ドラフト指名)も付いてくる」とまずはリーグ戦に集中する。2年時に大学ジャパン候補に選出され、一気に注目を集めた右腕もついに最終学年。上杉とのドラフト候補対決に競り勝って、チームと同様に幸先よくスタートした。 (麻生和男)
■中京大・上杉 清水1人にやられた
中京大の上杉は中部大の5番・清水に全3打点を献上したことを悔やんだ。「同じ打者に打たれてしまったのが反省点。力んで、フォームを崩してしまった」と肩を落とした。石川とのドラフト候補対決については「多少は意識したけど、自分なりに抑えることを心掛けた」という。「しっかり切り替えたい。このままでは終われない」とすぐに前を向いていた。
▽1回戦(中部大1勝)
中部大 100000020―3
中京大 000001000―1
■愛工大4季ぶり白星
昨秋は10戦全敗の愛工大が秋春連覇を狙う愛大に、大量8点の差をつけて勝った。1部での勝利は実に4季ぶり。奥田好弘監督(47)は「特に感慨はありませんけど…」と照れ笑いしながらも、久々の勝利を喜んだ。
4年生と、入学したばかりの1年生が、がっちりとかみ合った。先発・長瀬が1失点完投し、遊撃の荻野が3回のピンチで好守を見せるなど4年生が貫禄(かんろく)を示せば、スタメン出場した増川、林の両1年生も早速、初安打。4回に適時三塁打を放った林は昨年の愛工大名電の5番打者。「先輩が作ってくれたチャンスを生かしたかった。試合に出られたことがうれしい」と声を弾ませた。
中心選手である藤川がけがのため不在。復帰までもうしばらくかかりそうだが、既存の戦力と新人の融合がチームを勢いづけそうだ。奥田監督は「手応えはある。十分、1部でもやれると思う」と自信をのぞかせた。
■愛大は決定打欠く
昨秋優勝の愛大は毎回のように走者を得点圏に進めながらあと1本が出なかった。八田監督は「粘りきれなかった。ここぞという時に流れが向こうに行った」とさばさばした様子で振り返った。だが中日に育成枠入団した赤田の後釜としてマスクをかぶった1年生・松本が2安打デビュー。明日以降につながる明るい話題もあった。
▽1回戦(愛工大1勝)
愛工大 100440000―9
愛大 000000010―1
(2010年4月4日 中日スポーツ12面より)