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2010.04.02
リチウム電池の性能10倍以上に 名大院准教授が開発
■安全性向上の電解質
名古屋大大学院生命農学研究科の松見紀佳准教授は、ノートパソコンや電気自動車に使われるリチウムイオン電池の性能を従来の10倍以上高める電解質を開発したと発表した。これまでの電解質は燃えやすく発火事故も報告されているが、燃えにくい素材を使うことで安全性も向上させた。
松見准教授は、溶液に溶けて電気を導く性質のある電解質について、イオン液体と呼ばれる従来型の液体ではなく、ゼリー状にする方法を研究。ホウ素をセルロース(多糖類)と化学的に結合させてイオン液体に混ぜ、ゼリー状にした「ハイブリッド型」の電解質を発案した。
電解質をゼリー状にすると通常、液体よりも通電性が落ちるが、ホウ素には逆に電気の通りをよくする作用があり、実験では従来型の10倍から100倍の通電性を記録したという。セルロースは燃えやすいが、難燃性のホウ素を組み合わせることで燃えにくくなった。
電解質は、水などに溶かすと陽イオンと陰イオンに解離して、その溶液が電気を導く物質。リチウムイオン電池には欠かせない材料だ。松見准教授は「(燃料電池などへの)実用化を目指し、さらに性能や安全性の向上、コスト低減に取り組みたい」と話している。
(2010年4月2日 中日新聞朝刊3面より)
名古屋大大学院生命農学研究科の松見紀佳准教授は、ノートパソコンや電気自動車に使われるリチウムイオン電池の性能を従来の10倍以上高める電解質を開発したと発表した。これまでの電解質は燃えやすく発火事故も報告されているが、燃えにくい素材を使うことで安全性も向上させた。
松見准教授は、溶液に溶けて電気を導く性質のある電解質について、イオン液体と呼ばれる従来型の液体ではなく、ゼリー状にする方法を研究。ホウ素をセルロース(多糖類)と化学的に結合させてイオン液体に混ぜ、ゼリー状にした「ハイブリッド型」の電解質を発案した。
電解質をゼリー状にすると通常、液体よりも通電性が落ちるが、ホウ素には逆に電気の通りをよくする作用があり、実験では従来型の10倍から100倍の通電性を記録したという。セルロースは燃えやすいが、難燃性のホウ素を組み合わせることで燃えにくくなった。
電解質は、水などに溶かすと陽イオンと陰イオンに解離して、その溶液が電気を導く物質。リチウムイオン電池には欠かせない材料だ。松見准教授は「(燃料電池などへの)実用化を目指し、さらに性能や安全性の向上、コスト低減に取り組みたい」と話している。
(2010年4月2日 中日新聞朝刊3面より)