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イベント  2019.05.24

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翻訳家は二つの文化の橋渡し フランス人アトランさん 名古屋外大で講演会

日本語を訳すことの難しさなどを話すアトランさん=日進市の名古屋外国語大で

日本語を訳すことの難しさなどを話すアトランさん=日進市の名古屋外国語大で

 日本文学の翻訳を多数手掛けてきたフランス人の翻訳家コリーヌ・アトランさんの講演会が23日、日進市の名古屋外国語大であった。「読むこと、書くこと、訳すこと」と題して講演し、日本語の文学表現を訳すことの楽しさや難しさを語った。

 アトランさんは、1990年代から翻訳家として活動。夏目漱石や森鴎外の作品をはじめ、村上春樹さんの代表作「海辺のカフカ」や、フランスで文学賞を受けた辻仁成さんの「白仏」などを翻訳した経歴を持つ。現在は京都在住で、エッセーなどを書いている。

 講演でアトランさんは、翻訳家は「二つの文化の間に立ち、両方の海岸を橋渡しする仕事だ」と表現。言葉は意味のほかにも音やリズムを持っており、「意味を伝えられても、音の響きまで翻訳するのはかなり困難。翻訳の仕事は、原文の文体を破壊する逆接的な面もある」と語った。

 また、作中で主人公の呼称が「私」「俺」などと使い分けられた作品の翻訳で苦労したエピソードなども紹介した。質疑応答で、情報通信技術の進展で機械翻訳も進歩していることの受け止めを会場から問われると、「機械は情報を伝えることはできても、文学は生きている人間でなければ訳せない」と語る場面もあった。(角雄記)

(2019年5月24日 中日新聞朝刊なごや東総合版より)

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