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学生活動 2019.03.21
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脳性まひの清水さん、愛大を卒業 車いす通学 自立へ一歩
脳性まひのため車いすで通学してきた愛知大文学部4年の清水ちひろさん(21)=浜松市西区=が20日、卒業式を迎えた。自宅からほぼ皆勤で通った大学までの距離は約30キロ。自立を目標にまい進してきた大学生活を終え、社会へと踏み出す。(高橋雪花)
赤い着物と深緑の袴(はかま)に身を包んだ清水さんが、電動車いすを操作し教室の前に躍り出る。受け渡された学位記を左手でしっかりと握ると、はちきれそうな笑みが広がった。「無事に4年間を終えてほっとした」
清水さんは一歳の頃、脳性まひの診断を受けた。下肢と右手が自由に動かせないなか、掲げた目標は「自立」。最寄りのJR高塚駅から自力で電車に乗り、豊橋駅での乗り換えを経て1時間ほどかけて通った。
いつも介助してくれる各駅の駅員とは知り合いに。通学にはすぐに慣れ、「公共交通機関を使うことに恐れがなくなった」と語る。愛知大学前駅の駅員中越正宜さん(66)も「よく頑張ったなあ」と感慨深げだ。
大学生活では最初、何げない動作一つ一つに時間がかかった。不自由な右手でなく左手でかばんから教科書を出す、びっしりと入った授業ごとに教室を移動する-。「ご飯を食べるのにもめっちゃ焦って」と打ち明ける。
それでも自分のやり方を見つけて乗り切った。通院と授業がかぶらないよう日程を組み、休んだのはたった1日。文字を書くのに健常者の倍の時間がかかるが、毎週課される手書きのリポートを仕上げるため、週末は鉛筆で手を真っ黒にして取り組んだ。
ゼミで成長を見守ってきた関義正准教授は「特別扱いせず、他の学生と同じように接してきた。本人は『他の人と同じようにできるのか』という心配と闘い、押しつぶされずにやりとげた」とたたえる。
目標としていた自立には「ちょっとは近づいたかもしれないけど、自分を褒めるのは好きじゃないのでこれからも頑張ります」。4月からは、福祉系の事務職として社会人デビュー。「2、3年後には仕事で頼られる人になりたい」と話している。
(2019年3月21日 中日新聞朝刊東三河版より)
赤い着物と深緑の袴(はかま)に身を包んだ清水さんが、電動車いすを操作し教室の前に躍り出る。受け渡された学位記を左手でしっかりと握ると、はちきれそうな笑みが広がった。「無事に4年間を終えてほっとした」
清水さんは一歳の頃、脳性まひの診断を受けた。下肢と右手が自由に動かせないなか、掲げた目標は「自立」。最寄りのJR高塚駅から自力で電車に乗り、豊橋駅での乗り換えを経て1時間ほどかけて通った。
いつも介助してくれる各駅の駅員とは知り合いに。通学にはすぐに慣れ、「公共交通機関を使うことに恐れがなくなった」と語る。愛知大学前駅の駅員中越正宜さん(66)も「よく頑張ったなあ」と感慨深げだ。
大学生活では最初、何げない動作一つ一つに時間がかかった。不自由な右手でなく左手でかばんから教科書を出す、びっしりと入った授業ごとに教室を移動する-。「ご飯を食べるのにもめっちゃ焦って」と打ち明ける。
それでも自分のやり方を見つけて乗り切った。通院と授業がかぶらないよう日程を組み、休んだのはたった1日。文字を書くのに健常者の倍の時間がかかるが、毎週課される手書きのリポートを仕上げるため、週末は鉛筆で手を真っ黒にして取り組んだ。
ゼミで成長を見守ってきた関義正准教授は「特別扱いせず、他の学生と同じように接してきた。本人は『他の人と同じようにできるのか』という心配と闘い、押しつぶされずにやりとげた」とたたえる。
目標としていた自立には「ちょっとは近づいたかもしれないけど、自分を褒めるのは好きじゃないのでこれからも頑張ります」。4月からは、福祉系の事務職として社会人デビュー。「2、3年後には仕事で頼られる人になりたい」と話している。
(2019年3月21日 中日新聞朝刊東三河版より)