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お知らせ  2018.10.30

光れ「がまキューブ」 蒲郡の町工場×愛知工科大

がまキューブを載せたH2Aロケットの打ち上げをパブリックビューイングで見守る関係者ら=29日、愛知県蒲郡市の愛知工科大で

がまキューブを載せたH2Aロケットの打ち上げをパブリックビューイングで見守る関係者ら=29日、愛知県蒲郡市の愛知工科大で

 町工場の技術で宇宙から光よ届け−。29日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケットには、愛知県蒲郡市の愛知工科大が、地元中小企業と協力して作り上げた超小型人工衛星「がまキューブ」も搭載された。一辺10センチの立方体で、重さ1.36キロ。片手に収まるほどの大きさに技術の粋が凝縮し、関係者から「高精度に仕上げられた。次にもつなげたい」と歓喜の声が上がった。

 午後1時すぎ、愛知工科大に設けられたパブリックビューイング会場。学生や、製作に携わった企業の従業員ら約130人がカウントダウンの声を合わせる。ロケットが炎を吐きながら上空へ進むと、どよめきが起こった。

 「社員全員で来ました。『われわれの会社で作ったんだ』との思いで、次の衛星作りにつながる」。内部基板を固定する部品などを手掛けた中川製作所の中川達也社長(46)は、興奮した様子で中継画面を見つめた。

 がまキューブは、愛知工科大工学部の西尾正則教授(63)が、産官学連携を目的に設計。市内で自動車部品や医療機器などを手掛ける7社が、機体の部品30個を分担して製造、加工した。

 苦労したのは、持ち寄った部品の組み付けだった。普段は、納品先の注文に応じた部品作りが大半だが、今回は、同じ金属加工業同士が額を集め、新たな製品を作り込む作業。得意分野が異なり、部品同士がうまく組み合わなければ、図面から引き直すなど微調整を繰り返した。

 その結果、「JAXAが要求する10倍の精度に仕上がった」と、形状を測定した蒲郡製作所の伊藤智啓(としひろ)社長(58)。「将来はほかの社も巻き込み、企業だけで衛星を作り上げられるようになれば」と夢を描く。

 H2Aロケットからは「いぶき2号」と、UAEの観測衛星「ハリーファサット」の分離が確認されたが、がまキューブは30日に愛知工科大で機体からの電波を受信し、無事に分離されたことを確認する。地上から観測できる発光ダイオード(LED)を本格的に点灯させるのは、数カ月後になる見通しだ。

 種子島で打ち上げに立ち会った西尾教授は「ひと安心。地元企業をはじめ多くの方々の協力に感謝している」とコメントした。(木下大資、写真も)

(2018年10月30日 中日新聞朝刊1面より)

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