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中日新聞掲載の大学記事

学生活動  2018.03.23

81歳女性 名産大を卒業 尾張旭の三高さん リンパ腫越え

談笑する三高さん(左)と孫の宮入さん(右)、岩瀬准教授=尾張旭市新居町の名古屋産業大で

談笑する三高さん(左)と孫の宮入さん(右)、岩瀬准教授=尾張旭市新居町の名古屋産業大で

 81歳の三高枝子(みたかえいこ)さん(尾張旭市城山町)が、同市の名古屋産業大を卒業した。同大では6年前に82歳で卒業した男性に次ぐ高齢。卒業研究中に悪性リンパ腫を患いながらも、「他の学生の模範」として選ばれた学長賞を手に、晴れの日を迎えた。(菅谷仁志)

 北海道美深町出身。中学を卒業後、家業の農業に従事し、結婚して名古屋市や尾張旭市に住んだ。「いつか高校を出て幼稚園や保育園の先生になりたい」という思いはあったが、子育てや仕事で余裕がなかった。

 2009年にがんで夫を亡くして一念発起。11年に通信制高校に入り、孫たちの指導も受けながら3年で卒業した。

 高校を出ると、さらに学習意欲が増した。「海外や国内で離れて住む孫たちと連絡を取るためパソコンを学びたい」と、14年、AO入試を受けて現代ビジネス学部に入学した。

 困難にも直面した。2年の時、緑内障の疑いで、医師からパソコンを使わないように言われた。本や授業のスライドも見づらかったが、勉強を続け、教養科目の授業の一環で提案した「いちじくパウンドケーキ」は市商工会の特産推奨品に選ばれた。

 指導した岩瀬真寿美准教授(35)は「若い学生ともなじんで、どの分野にも積極的に出て行く姿に、こちらが教えられた」と話す。

 宗教の授業で仏壇に手を合わせる意味などに興味を持ち、般若心経の「空」の考え方を卒業研究のテーマに選んだ。

 昨年7月には悪性リンパ腫で入院。早期発見により転移はなく、入院後の3週間は、病床に持ち込んだ資料を読み込んだ。

 退院後は抗がん剤の影響もあり、食が細り、体は痩せ「つわりがずっと続いているような状態」でも、研究は続けた。今年1月末に発表をやり遂げた。

 研究を通して「生きるのが楽になった」と話す。「『死ぬのも自然、生まれるのも自然』との教え。何もない自分を肯定できるようになった」

 孫の宮入萌さん(28)=守山区=は「本当にすごい。友達は『自分のおばあちゃんは絶対無理』と言う。残りの人生も楽しく過ごしてほしい」と、祖母の頑張りに胸を張った。

 卒業証書を手にし、三高さんは「4年間はあっという間。大変なことは一度もなかった。無我夢中で働いてきたので、自分のことだけを考えていればいい時間は初めて。素晴らしく幸せだった」と話した。

(2018年3月23日 中日新聞朝刊なごや東版より)

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