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2017.05.10
愛知大学野球春季リーグでなぜか急増!本塁打 昨秋の2倍 24戦終え合計26本
■愛産大の主砲・浜元は6発
愛知大学野球春季リーグ(中日スポーツ後援)に、異例の本塁打旋風が巻き起こっている。第5週(24試合)を終えて26本と、平均すれば毎試合1本以上出ており、すでに昨秋(39試合)の20本を超えた。なぜ本塁打が量産されているのか、その要因を探った。
■強打者ぞろい
本塁打旋風の象徴的存在が、リーグトップの6本塁打を記録している愛産大の4番・浜元大希(2年、豊川)だ。バスケットボールの実業団でプレーしていた父親譲りの183センチ、110キロの巨漢は、7日の名城大戦で2打席連続弾を放った。「思い切りバットが振れているし、甘いボールを1球で仕留めているから」と好調の要因を語る。
青山正克監督(46)は「飛ばす力がもともとある子。今季からスタメンに定着して精神的に落ち着いたから、力が発揮できているんでしょう」と話す。浜元は高校通算8本塁打だが、内訳はスタメンに定着した3年の5月から7月までの2カ月でたたき出した数だ。スラッガーの素質はあった。
浜元に次ぐ2本塁打を放った選手は7人おり、そのうち3人が高校通算本塁打35本以上を記録している。愛産大の黒野諒太郎(3年・吉良)が53本、中京大の池田鏡介(3年・愛知啓成)が38本、名城大の高木祥宏(4年・東邦)が36本。大学でも、上級生として充実のシーズンを迎えている。
実力のある打者の存在だけではなく、本塁打量産の裏には、投手の質の低下は考えられないのだろうか。名城大の最速153キロ右腕・栗林や、中京大の左腕・若林、中部大の今井ら各大学のエースが被弾している。しかしこの3投手を始め、昨秋から主力投手陣の陣容は大きく変わらず、レベルがいきなり低下したとは考えにくい。
■バットの材質
各大学の指導者から意見を集めると、バット材に着目した指摘もあった。プロ野球日本ハムでプレーし、長年スカウトを務めてきた愛院大の木村孝監督(58)は、「今の主体はハードメープル。かつて使用されたアオダモやホワイトアッシュに比べてしなりにくい。硬くて反発力が高く、打球の飛び方が違う」と言う。アオダモ、ホワイトアッシュはともに乱獲から木材が激減し、ここ5年ほどで大学球界で見かけることはなくなってきた。プロでも手にできる選手はわずかで、野球用品メーカーのミズノによると現在、プロに卸しているバットの9割がハードメープルという。
高校野球で使用される金属バットほどの反発力はないものの、木製バットの中でも打球が飛びやすいというハードメープル。初めて木製バットを扱う新人でも扱いやすいそうで、青山監督は「確かに新入生が木製バットに持ち替えても、あまり苦にしなくなってきた」と語る。
シーズン後半戦にさしかかり、残すところあと3週。どこまで本塁打数を伸ばせるか、注目が集まる。 (平野梓)
▼浜元大希(はまもと・だいき) 1998(平成10)年3月20日生まれ、愛知県岡崎市出身の19歳。183センチ、110キロ、右投げ右打ち。小学1年時に軟式の安城ライオンズで野球を始め、中学時代は硬式の岡崎葵ボーイズ所属。豊川高では3年5月からレギュラーとなり、通算8本塁打。愛産大では1年秋から出場し、今季は4番・一塁手に定着して6本塁打を放っている。
◆愛知大学リーグの本塁打記録 通算最多本塁打は元中日の大豊泰昭が名商大時代(1984年春〜1987年秋)にマークした24。連続打席では西鉄や中日でプレーした、神原隆彦(愛院大)の4打席(1987年秋)。連続試合では大豊の弟の大順将弘(名商大)ら2選手が4試合を記録。シーズン最多は記録に残っていない。
(2017年5月10日 中日スポーツ10面より)
愛知大学野球春季リーグ(中日スポーツ後援)に、異例の本塁打旋風が巻き起こっている。第5週(24試合)を終えて26本と、平均すれば毎試合1本以上出ており、すでに昨秋(39試合)の20本を超えた。なぜ本塁打が量産されているのか、その要因を探った。
■強打者ぞろい
本塁打旋風の象徴的存在が、リーグトップの6本塁打を記録している愛産大の4番・浜元大希(2年、豊川)だ。バスケットボールの実業団でプレーしていた父親譲りの183センチ、110キロの巨漢は、7日の名城大戦で2打席連続弾を放った。「思い切りバットが振れているし、甘いボールを1球で仕留めているから」と好調の要因を語る。
青山正克監督(46)は「飛ばす力がもともとある子。今季からスタメンに定着して精神的に落ち着いたから、力が発揮できているんでしょう」と話す。浜元は高校通算8本塁打だが、内訳はスタメンに定着した3年の5月から7月までの2カ月でたたき出した数だ。スラッガーの素質はあった。
浜元に次ぐ2本塁打を放った選手は7人おり、そのうち3人が高校通算本塁打35本以上を記録している。愛産大の黒野諒太郎(3年・吉良)が53本、中京大の池田鏡介(3年・愛知啓成)が38本、名城大の高木祥宏(4年・東邦)が36本。大学でも、上級生として充実のシーズンを迎えている。
実力のある打者の存在だけではなく、本塁打量産の裏には、投手の質の低下は考えられないのだろうか。名城大の最速153キロ右腕・栗林や、中京大の左腕・若林、中部大の今井ら各大学のエースが被弾している。しかしこの3投手を始め、昨秋から主力投手陣の陣容は大きく変わらず、レベルがいきなり低下したとは考えにくい。
■バットの材質
各大学の指導者から意見を集めると、バット材に着目した指摘もあった。プロ野球日本ハムでプレーし、長年スカウトを務めてきた愛院大の木村孝監督(58)は、「今の主体はハードメープル。かつて使用されたアオダモやホワイトアッシュに比べてしなりにくい。硬くて反発力が高く、打球の飛び方が違う」と言う。アオダモ、ホワイトアッシュはともに乱獲から木材が激減し、ここ5年ほどで大学球界で見かけることはなくなってきた。プロでも手にできる選手はわずかで、野球用品メーカーのミズノによると現在、プロに卸しているバットの9割がハードメープルという。
高校野球で使用される金属バットほどの反発力はないものの、木製バットの中でも打球が飛びやすいというハードメープル。初めて木製バットを扱う新人でも扱いやすいそうで、青山監督は「確かに新入生が木製バットに持ち替えても、あまり苦にしなくなってきた」と語る。
シーズン後半戦にさしかかり、残すところあと3週。どこまで本塁打数を伸ばせるか、注目が集まる。 (平野梓)
▼浜元大希(はまもと・だいき) 1998(平成10)年3月20日生まれ、愛知県岡崎市出身の19歳。183センチ、110キロ、右投げ右打ち。小学1年時に軟式の安城ライオンズで野球を始め、中学時代は硬式の岡崎葵ボーイズ所属。豊川高では3年5月からレギュラーとなり、通算8本塁打。愛産大では1年秋から出場し、今季は4番・一塁手に定着して6本塁打を放っている。
◆愛知大学リーグの本塁打記録 通算最多本塁打は元中日の大豊泰昭が名商大時代(1984年春〜1987年秋)にマークした24。連続打席では西鉄や中日でプレーした、神原隆彦(愛院大)の4打席(1987年秋)。連続試合では大豊の弟の大順将弘(名商大)ら2選手が4試合を記録。シーズン最多は記録に残っていない。
(2017年5月10日 中日スポーツ10面より)