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中日新聞掲載の大学記事

2017.03.30

「健康寿命」連携し研究 鈴鹿市 産学官の成果発表

 鈴鹿市は29日、鈴鹿医療科学大(同市)や日清オイリオグループ(東京)と共同で、健康で自立した生活を送れる「健康寿命」を延ばす産学官連携の研究成果を発表した。市民参加の大規模研究などで、ココナツオイルなどに含まれる「中鎖脂肪酸」が栄養状態を良くし、加齢で低下する身体機能の維持に役立つ点を見いだした。

 市などは昨年2月、急速に進む高齢化を踏まえて連携協定を締結。効率的なエネルギー補給や認知症予防に役立つとされる中鎖脂肪酸の機能の解明や、地場食材の利用促進など4テーマを設け、研究を進めた。

 昨年7〜12月に実施された栄養状態向上のための研究には、45〜79歳の市民503人が参加。肉や緑黄色野菜など10種類の食材と、中鎖脂肪酸入りの健康食品を1カ月間毎日摂取してもらい、60歳以上の参加者には、研究前後に採血などを実施した。

 その結果、赤血球の産生促進や神経細胞の保護につながるという血液中の「インスリン様成長因子(IGF)1」の数値が改善。図形の認識などを試す検査の評点も、わずかに上がった。

 鈴鹿医療科学大薬学部の郡山恵樹准教授は、低栄養状態のマウスに中鎖脂肪酸を摂取させると脳内の炎症が抑えられ、認知症の発症を防げる可能性について説明。成果をもとに特許が出願されたことも紹介した。

 末松則子市長は「市民が健康寿命の延伸に高い関心を持っていることが分かった」と総括。多様な食材の摂取促進に向け、今後も、料理教室や小売店などを通じた啓発に努める考えを示した。(山本克也)

(2017年3月30日 中日新聞朝刊鈴鹿亀山版より)
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