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中日新聞掲載の大学記事

2016.09.14

ベトナムに薬を輸出へ 愛院大 夏目教授ら覚書に調印

 ベトナムの医療支援に取り組む愛知学院大の夏目長門教授(口腔(こうくう)先天異常学)が中心になるNPO法人「日本医学歯学情報機構」は来年度、製薬などのスズケン(名古屋市)の協力で、ベトナム政府の要請に応じて輸出による薬剤提供を始める。初年度は糖尿病や高血圧治療薬など1200万円分を提供予定。

 夏目教授は、大村秀章知事のベトナム訪問に同行中で、13日はベトナム厚生省で行われた薬剤の人道援助を行う覚書の調印式に出席。現地の政府関係者と覚書を交わした。

 夏目教授は、25年前から日本口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)協会の活動としてベトナムで無償手術を行うなど支援。13年前から同情報機構(理事長・小出忠孝愛知学院大学院長)の事務局長として医療全般の協力活動を展開。こうした貢献が評価され、薬剤提供が認められた。

 ベトナムでは、治療薬の品質などに問題が多く、日本では副作用で使われない薬がいまだに出回っているという。薬によって患者の症状が悪化したり、最悪の場合、死に至ることもある。しかし、医薬品を輸出する場合は、現地政府に膨大な資料を送る必要があるなど手続きが煩雑。負担も大きいため、日本の製薬会社は二の足を踏んでいたという。

 そこで夏目教授は、スズケンに協力を要請。薬品による途上国の人道援助の重要性について理解が得られ、全面的に協力してもらえるようになった。輸送費など経費だけ徴収する形で、来年度は毎月100万円分を提供。軌道に乗れば量を増やしたい考え。

 夏目教授は「政府要請に応じる形では世界初と聞く。いい薬さえあれば助かったという話をよく聞き、そういう患者にも会った。長年の活動が実り、ようやく踏み出せる」と話す。(室木泰彦)

(2016年9月14日 中日新聞朝刊県内版より)
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