全日本大学野球選手権第４日は９日、神宮球場で準々決勝が行われ、初出場の中京学院大（東海）、３年ぶりの優勝を狙う上武大（関甲新）と奈良学園大（近畿）中央学院大（千葉）がベスト４へ進んだ。

　中京学院大は柳川が完投して５−１で昨秋の明治神宮大会優勝の亜大（東都）を下し、上武大は５−４で東北福祉大（仙台６大学）に逆転サヨナラ勝ちした。

　奈良学園大は延長１０回タイブレークで宮本が満塁本塁打を放って関西国際大（阪神）に７−３でサヨナラ勝ち、中央学院大は４−１で東海大北海道（札幌）を退けた。

　１０日は休養日で１１日に準決勝が行われる。

■打線１２安打　亜大を圧倒

　決して大振りせず、全員がコンパクトなスイングを心掛けていた。中京学院大の打線が４投手に１２安打を浴びせ、東都の王者を圧倒。どちらが優勝候補か分からないような試合運びだった。近藤監督は「選手たちの秘めた力はすごい」と新たな発見に驚きを隠せなかった。

　４番石坂がチームを勢いづけた。３回２死一、二塁から左前へ先制打。１、２回戦は８打数無安打と不振にあえいでいたが、試合がなかった８日にきっちり修正した。「左肩が開くので右方向に打つ練習を繰り返してきた」

　効果は２回の第１打席で表れた。左前へ今大会初安打。バットの芯で捉え、「左肩が開いていない証し」と本来の打撃を取り戻した。３回は余裕を持って打席に立つことができていた。

　流れを決定付けたのは、石坂と同じ「３年、岐阜・中京高出」の２番南。４回に右中間へ２点三塁打を放った。２回戦まで８打数１安打。「調子は悪いけど、そんなこと言ってられない場面」と大きな追加点に笑みがこぼれた。

　石坂、南の高校の先輩でもある３番吉川は大会屈指の好打者。２、４番が打つと打線はつながる。もう勢いだけではない。選手たちは、試合を重ねるごとに強くなっていることを実感している。（東郷賢一）

中京学院大（東海）　００２２０１０００―５
亜大（東都）　００００００１００―１
（中）柳川−山崎
（亜）中村稔、諏訪、山田義、高橋遥−宗接

関西国際大（阪神）　００１００００２００―３
奈良学園大（近畿）　１００２０００００４―７
（タイブレーク１０回）
（関）石田、前田、森国、上野、門野−藤井
（奈）前原、大仁、榎本、原崎−松木
本塁打　村上、宮本（以上奈）

中央学院大（千葉）　１０００００２１０―４
東海大北海道（札幌）　０００００１０００―１
（中）石井、小串、臼井−長井
（東）山根、松浦、太田、秋保、中村−広辻
本塁打　椿（中）

東北福祉大（仙台６大学）　００００００００４―４
上武大（関甲新）　３０００００００２―５
（東）八木、大園、津森、城間−長坂、吉川、吉田
（上）寺沢、宮川−吉田
本塁打　長沢（上）

（2016年6月10日　中日新聞朝刊27面より）