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中日新聞掲載の大学記事

2015.11.15

明治神宮野球大会 竜育成1位 中川 あるぞ一年目支配下 緩急つけ早大に6回まで無失点

■愛大0−3で敗退 

 中日が育成ドラフト1位で指名した愛大の中川誠也投手(4年)が、強豪相手の好投で自信を深めた。準々決勝(初戦)の早大戦に先発、0−3で完投負けとなったものの、切れの良い速球と変化球を軸にした投球で6回まで無失点。支配下ドラフト2選手を擁して春秋東京六大学リーグ、大学選手権との4冠を目指す伝統校を苦しめた。「もともとコントロールには苦労していない」と制球力に自信を持つ左腕は、入団1年目から支配下選手に昇格する可能性も十分だ。

 雨でぬかるんだマウンドにも負けず、終盤まで中川は大学王者に本来のスイングをさせなかった。最速139キロの速球を小気味よく内外角へ制球。鋭いスライダーや落差の大きいカーブで緩急をつけた。

 「練習では良くなかったが、試合に入ってスイッチが入った。しっかりとしたいい球が投げられた。悪天候も気にならなかった」

 1回は巨人からドラフト2位で指名された重信と、楽天から同3位で指名された茂木に内野安打を打たれて1死一、三塁とされた。いきなり迎えたピンチにも、「打ち取った当たりだし、気にしないように投げた」と強心臓で後続を断った。2回から6回までは毎回のように安打を打たれながらも、二塁を踏ませなかった。

■磨きかかった制球力で巨人2位・重信を見逃しK

 5回1死一塁では重信を見逃し三振に仕留めた。フルカウントから外角低めへの134キロに手が出なかった重信は、「特に外角へのコントロールが良かった」と目を見張った。

 三重・伊勢工高時代から自信があった制球力に磨きがかかった。練習では、バッテリー間の半分の距離から内外角の決められたところに投球。そこから距離を広げるなど、独自の練習法で細かい制球力を身に付けた。

 投球数が100球を超えた7回2死から、王者の怖さを思い知らされた。投手の大竹が初球を三塁線へバント安打。動揺を隠せず重信には四球を与え、河原の左前打で満塁とされた。茂木には初球の139キロの外角球を左中間へ運ばれ、走者を一掃された。

 「大竹はバントがないと決め付けて(球を)置きにいってしまい、重信には球が抜けた。茂木にはコースを投げようと思ったがうまく打たれた」。それまで淡々と投げていた左腕は、先制打を打たれると少しだけ悔しそうな表情を見せた。

 ドラフト会議では、支配下選手として指名される可能性もあった。中日は今年のドラフトで指名を6人に限定。他球団の動向次第で指名選手を奪われていた場合は、中川を6位で指名することも視野に入れていた。

 大学入学直後に左肘を手術し、リーグ戦登板は3年秋からという遅咲き左腕。決勝打を打たれた茂木には「直球が見にくいし、腕の振りのわりには球が来ていた」と潜在能力を認められた。

 今オフは高橋聡がフリーエージェント(FA)宣言。折しもこの日、阪神と初の入団交渉に臨んだ。移籍してしまうとチームにとっては予定していた左腕が1枚欠けるという、ドラフト会議時点では想定していなかった事態になる。2010年の育成ドラフト1位だった矢地健人が、1年目に支配下登録された前例もある。2桁の背番号を背負う日が、意外に早く来るかもしれない。 (堤誠人)

■楽天3位・茂木3点三塁打 勝負強さ見せた

 中川から決勝の3点三塁打を放った茂木は「自分のイメージした打球ではなかった。右中間かと思ったけど左に飛んでいた」という。直球を引っ張ったつもりだったが、腕の振り以上に伸びがあったため、やや差し込まれたか。それでもヒットエリアに飛ばしたところが、4冠を狙う早大の3番打者らしい勝負強さだった。1回の内野安打のあと、中川の直球にてこずって凡打していたが、勝負どころで仕留めてみせた。

◆矢地は1年目開幕直後に支配下登録

 中日に育成ドラフト指名で入団した選手で支配下登録されたのは過去2人。第1号は投手の矢地健人で、2010年に高岡法科大から入団すると同年4月5日に支配下登録された。愛大から矢地と同期入団の捕手、赤田龍一郎は4年目の13年5月2日に支配下登録となった。

【大学の部】
▽準々決勝
愛大(愛知・東海・北陸) 000000000―0
早大(東京六大学) 00000030x―3

(2015年11月15日 中日スポーツ2面より)

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