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中日新聞掲載の大学記事

2015.08.27

独企業体と研究提携 炭素繊維で 金沢工業大

 炭素繊維複合材料分野で次世代インフラの構築を目指す金沢工業大の研究開発拠点「革新複合材料研究開発センター(ICC)」(白山市)が、先進地ドイツの研究開発クラスター(企業の集合体)「CFKバレー」と連携協定の締結で合意した。ICCの鵜沢潔所長らが26日、県庁での谷本正憲知事との懇談で報告した。

 鵜沢所長は今月中旬にCFKバレーを訪問。共同研究や人材交流での連携の可能性について議論を交わし、10月ごろの協定締結で合意に至ったという。具体的な協定内容は今後詰める予定だが、鵜沢所長は懇談後の取材に「日欧の優れた部分を生かした共同研究を立ち上げて相乗効果を期待したい。その研究に伴う技術者レベルの人材交流との2点が大きな柱になる」と述べた。

 鵜沢所長は懇談で谷本知事にも協定締結の場への立ち合いを求め知事は「同じ目線で物事を見た方が後の議論を進めやすい」と前向きな姿勢を見せた。

 炭素繊維複合材は金属に替わる高強度で軽量な部材として次世代産業に期待の高い分野。日本が生み出し、世界の7割の生産シェアを占めるが、実際に製品化する技術は欧米に後れを取っている。

 ICCは炭素繊維複合材の実用化に向け、複数の大学や企業が関わる産学連携の研究拠点として昨年6月に開所。同11月には自動車や航空産業が集積する東海地区の研究拠点との連携を開始し、国内での生産・加工地域の形成を目指している。同月にはCFKバレーの最高経営責任者(CEO)がICCを視察しており、「一緒にできれば」と連携に意欲をみせていた。

 知事との面談には鵜沢所長のほか、ICCの研究に関わる県内企業の代表者5人も出席。各企業の得意分野の技術を生かし、共同で研究を進めるクラスターのメリットについて語り合った。 (中平雄大)

【CFKバレー】 ドイツ北部のニーダーザクセン州シュターデ市で2004年に設立。炭素繊維複合材料の開発や普及を目的に州政府などの行政当局や民間企業で形成され、エアバスやフォルクスワーゲン(VW)など100団体が参画している。エアバスの工場周辺に整備された研究施設に各企業の研究部門が入り、大規模なクラスターを形成している。

(2015年8月27日 北陸中日新聞朝刊石川版より)

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