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中日新聞掲載の大学記事

2015.04.27

炭酸飲料酸味 記憶に残る味 金沢工大、サッポロ共同研究 「リボンシトロン」改良、発売

 金沢工業大感動デザイン工学研究所(石川県白山市)がサッポロビールなどと共同研究してきた炭酸飲料の「記憶に残る味」の鍵が酸味にあることが分かり、100年余の歴史を持つ炭酸飲料「Ribbon(リボン)シトロン」の改良に生かされた。研究所によると、味の記憶の研究は全国的にあまりなく、製品化につながる成果が出たのは初めて。(松本芳孝)

 共同研究はリボンシトロンの改良を考えていたサッポロビールから2012年に持ち掛けられた。味を研究所が、香りをサッポロビールが担当した。

 研究所では酸味と甘味の調整の仕方が違う3、4種の炭酸飲料をそれぞれ学生10〜20人に飲ませ、1時間後、1週間後、2週間後に自分が飲んだ飲料を当てる記憶実験をした。結果はサッポロビールに送られ、同社が再度、調整を少しずつ変えた飲料を研究所に送るという形で実験を6回繰り返した。学生の記憶に残りやすく、再度飲みたいと思える味の傾向が絞られていき、酸味がポイントになることも分かった。

 研究所長の神宮英夫・心理情報学科教授は「記憶に残る味は食べた人の経験や環境に左右されることが多い。単純な炭酸飲料だから味の指向性が収束したのではないか」と話した。

 共同研究のパートナーで飲料の味や香りの研究をしてきたサッポロビール価値創造フロンティア研究所(静岡県焼津市)の丸山一樹上級研究員は「香りが人間の記憶との結びつきが強いというのは以前から知られていたことだが、特定の味が記憶と結びつく可能性が示されたというのは興味深い」と評価した。

 新リボンシトロンは「初摘みレモンの香り」と銘打ち、27日、ポッカサッポロフード&ビバレッジから全国発売された。

(2015年4月27日 北陸中日新聞夕刊9面より)

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