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中日新聞掲載の大学記事

2015.04.30

熱々給食 闘病サポート 藤田保健大病院に新システム

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)は、病棟の各フロアで配膳直前に調理し、出来たての食事を提供する新しい調理装置を業務用厨房(ちゅうぼう)機器メーカー「ホシザキ電機」(豊明市)と共同開発した。食べる直前に加熱して仕上げるため、衛生面や食感、見栄え、味などに優れた食事を実現できるという。病院食提供の新システムとして、7月に名古屋市で開かれる栄養に関する国際学会で発表する。

 東口高志教授(代謝・栄養学)によると、従来は調理場で温めた食事を保温カートで各病棟へ運び、食事の時間に配っていた。約1300床を抱える同病院では調理から提供まで時間がかかるほか、衛生面の理由から、作った料理を短時間しか保存できないのが悩みだった。

 新システムでは、厨房で8割ほど調理した段階で、3〜5度まで急速に冷やして保存。二十数食分を載せたカートを各フロアに設置した装置に運んでおき、食事の時間が近づくと自動的に温めたい容器だけ熱風で加熱する仕組み。ホシザキ電機が昨年4月に発売した再加熱機能を持つ調理装置に、病院独自のプログラムを組み込んだ。

 一度調理した食材を再加熱するこれまでの仕組みよりも、野菜などの鮮度を保つことができ、患者の栄養状態に合わせた取り分けもしやすくなるという。

 東口教授は「直前に加熱することで無菌状態にでき、安全性は格段に良くなる。おいしい食事を提供すれば患者もたくさん食べられ、栄養状態が良くなって治療効果も高まる」と話す。

 藤田保健衛生大病院は、5月にオープンする新病棟に、新システムに対応した厨房を整備。試運転後の7月ごろに全病棟での提供を目指す。ホシザキ電機は今後、調理装置を新機種として病院や福祉施設を対象に受注生産する。

(2015年4月30日 中日新聞朝刊26面より)

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