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中日新聞掲載の大学記事

2015.02.11

ニホンザル「ご当地ハグ」 京大・中京大 地域差を初確認

 ニホンザル同士が近づくときなどに、緊張感を和らげるために行う抱擁行動に地域差があることが京都大と中京大などの調査で分かった。あいさつ行動の文化が存在することも初めて確認された。成果は米学術誌電子版に掲載された。

 京大院の中川尚史准教授(霊長類学)らのグループは、鹿児島県の屋久島と宮城県の金華山島のニホンザルで抱擁の仕方などを調査。金華山では互いに向かい合ってしか抱擁しなかったのに対し、屋久島ではほかにも、相手の体側や背中に腹を付ける形の抱擁をしていた。また、金華山では抱擁中に体を揺さぶっていたが屋久島はそうした行動はなく、逆に屋久島は抱擁中に手のひらを開閉させていたのに対し、金華山はなかった。

 一方、京都・嵐山などでは抱擁をしないニホンザルがいることも知られている。これらの結果、ニホンザルの抱擁は、本能的に備わったものではないと確認できた。ニホンザルでは芋を洗うなど食に関係した分野での文化的行動は確認されていたが、あいさつのような社会的文化があることが分かったのは初めてだという。

 中川准教授は「抱擁の仕方の違いは環境の違いなどで説明できず、特定の地域でたまたま始まった行動が社会的に伝達していったものだろう。今後はこうした行動が群れに伝わっていく過程を調べたい」と話している。

(2015年2月11日 中日新聞朝刊1面より)
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