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中日新聞掲載の大学記事

2014.11.29

偉大な父、自分は自分

 偉大な足跡を残した親を持つ選手の宿命なのだろう。「周りから常に父と比べられ、そのたびに嫌になった」。ドラフトで中日から育成4位で指名された近藤弘基外野手(21)=名城大=は、劣等感を抱えながら野球を続けていた。

 父は大型左腕として愛知・享栄高から中日に入団し、現在は投手コーチを務める真市さん(46)。1987年に初めて登板した巨人戦で無安打無得点試合を達成し、球史に強烈な印象を残した。守備位置は異なるが、憧れでもあり、越えられない壁でもあった。

 だがそんな意識も変わりつつある。大学2年で公式戦に出始めると、その冬から下半身の使い方を研究。打撃フォームを見直した。外野手としてレギュラーに定着し、3年の春秋2季連続で、愛知大学リーグのベストナイン入りした。今春は打順を下位から3番に上げ、打率3割6分4厘をマークして敢闘賞を獲得。「努力が実り、結果を残せた。やっと『自分は自分』と考えられるようになった」

 今秋は徹底的にマークされ、打率が2割台前半まで落ち込んだ。だが適時打になりそうな当たりをダイビングキャッチするなど随所で好守を連発。チームを懸命に鼓舞する姿勢に、「成長を感じた」と真市さんも認める。

親子で同じ道をたどり、これからも『近藤の息子』と言われ続けるだろう。「でも大丈夫。今は自信があるから」。大学で多くを得た実感を込めて、きっぱりと言い切った。(平野梓)

(2014年11月29日 中日新聞朝刊26面より)
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