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中日新聞掲載の大学記事

2014.05.18

伝統産業 熟練の技と美 名古屋芸術大生 PRビデオ制作

 名古屋芸術大(北名古屋市)のデザイン学部の学生たちが、友禅や扇子など西区の伝統産業をPRするプロモーションビデオを制作した。若者の視点から熟練した職人技や作品の美を映像に収め、伝統産業の魅力発信に一役買っている。 (佐藤航)

 下書きした複雑な模様に沿って、職人が手際良く布地にのりを置いていく。続いて彩色の工程。軽やかな筆運びで色を入れると、彩り豊かな友禅の美しい柄が現れた。透明感のある映像からは、職人の息遣いや工房の空気まで伝わってくる。

 ビデオは15分間で、「名古屋扇子」「名古屋友禅」「名古屋ちょうちん」「和だこ」「大正琴」を紹介している。伝統産業をPRしたい西区役所の依頼を受け、昨年秋から大学生4人と大学院生1人の計5人で制作を始めた。

 学生たちは2、3人ずつに分かれて、区内に点在する伝統産業の工房を取材。制作風景を撮影し、3分ずつの映像にまとめた。技術の高さが分かる手元のクローズアップ、工房の雰囲気が伝わる引いた映像に加え、職人が扱う道具などの音もしっかり収めてある。

 名古屋友禅の取材と編集を担当した4年生の山口真奈さん(21)は「友禅の魅力は豊かな色彩。色付けの場面を見せ場に持ってきた」と説明。最後はさまざまな柄の着物を紹介し、友禅の美しさをダイレクトに伝えた。

 和だこを担当した中国人留学生で大学院2年の劉粟さん(26)は、伝統的な作品と向き合う職人の表情に注目。「長い歴史が現代の担い手の表情に受け継がれている様子」を表現したという。

 生活の欧米化などで需要が減り、後継者不足も課題となっている伝統産業。デザイン学部の櫃田(ひつだ)珠実教授は「ビデオは特に若い人に見てもらいたい。伝統産業に親しみ、職人を志すきっかけになってくれれば」と話している。

 ビデオはDVDにして西区のロビーやウェブサイトで流しているほか、イベントでの上映も予定している。

(2014年5月18日 中日新聞朝刊市民版より)

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