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中日新聞掲載の大学記事

2012.11.16

大事な微生物離しません 粘着力あるタンパク質発見 名大グループ「医薬品製造の効率向上」

 プラスチックやガラスなどの表面に微生物をくっつけるタンパク質を、名古屋大大学院工学研究科の堀克敏教授らのグループが発見した。米科学誌「プロスワン」の電子版に15日、発表した。

 医薬品製造の過程で、溶液に微生物を入れて特定の物質を分解させることがあるが、分解された物質を取り出す際には、溶液とともに微生物を捨てるしかなかった。

 微生物をプラスチックなどにくっつけておく方法があれば、溶液とともに流すことなく繰り返し活用できるようになる。

 グループは、下水の汚泥に含まれるバクテリア「アシネトバクター」がどんな物にも瞬時によくくっつく能力を持つことに着目。解析すると、250ナノメートル(ナノは10億分の1)の毛状のタンパク質が生えていた。この毛に粘着性があり、物にくっついて離れないことが分かった。

 さらに、この毛をつくる遺伝子を特定。ほかの種類のバクテリアにこの遺伝子を入れると、粘着性の毛が生えて物にくっつく能力を持つようになった。

 堀教授は「石油燃料の代わりになるバイオ燃料や、インスリンやホルモン剤といった医薬品製造には微生物が使われる。研究成果を応用すれば、生産効率は飛躍的に向上する」と話す。

 グループはすでに、大手化学会社と実用化に向けた研究を始めている。

(2012年11月16日 中日新聞朝刊29面より)
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