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学生活動  2025.11.08

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栄養たっぷり宇宙食開発中 名古屋葵大・片山教授研究室 企業にレシピ提案へ

片山教授(右)の指導でキクラゲを使ったパンを試作する学生ら=名古屋市瑞穂区の名古屋葵大で

片山教授(右)の指導でキクラゲを使ったパンを試作する学生ら=名古屋市瑞穂区の名古屋葵大で

■骨粗しょう症防ぐキクラゲ活用も

 名古屋葵大健康科学部(名古屋市瑞穂区)の片山直美教授(栄養学)の研究室が、宇宙空間で必要な栄養を摂取できる宇宙食を国内の食品メーカーなどに提案するためにレシピの開発を進めている。宇宙空間で起こる骨粗しょう症を防ぐために必要なビタミンDを含むキクラゲなどを活用し、試作を繰り返しておいしさの向上にこだわっている。早ければ来春にも複数のメーカーにレシピを示し、製品化を目指す。(吉田幸雄)

 片山さんは、宇宙飛行士の野口聡一さんが取り組んだ「宇宙でハーブを育てる」という実験に関わったことがある。

 片山さんによると、宇宙食は長期保存ができ、いつでも必要な量を供給できる体制が必要であるため、対応できるのは幅広い販路と生産力を持つ大手食品メーカーなどに限られるという。このため、研究室が作ったレシピの採用に向けて、まずは大手メーカーなどに提案することにした。

 カルシウムの吸収に役立つビタミンDを含むキクラゲの他に、腸内環境を改善し、タンパク質を含むみそも使い、これまでにパン、わらび餅、マドレーヌなどのオリジナルレシピを作ってきた。レシピの数を増やす予定で、宇宙食としてだけでなく、災害時の食事としても活用できるという。

 試作に取り組む同学部3年の舟橋麻由さんらは「身近ではなかったが、キクラゲの大切さも知ることができた。宇宙でもぜひ食べてほしい」と期待した。片山さんは「管理栄養士などを目指す学生を育てているが、自ら提案し、道を切り開いていける人材を育てていきたい」と話した。

 研究室でレシピ開発を進める傍ら、同大は昨年から今年にかけて一般から「災害食・宇宙食開発プロジェクト」と題してレシピを募集し、141件の応募があった。研究室で開発したレシピと、応募作の中で優秀作に選ばれたレシピをまとめたレシピ集を来春に発行する予定だ。

(2025年11月8日 中日新聞朝刊県内総合版より)
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