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中日新聞掲載の大学記事

2012.05.15

大卒就職率好転 93.6% 今春2.6ポイント増 終盤一気に上昇

 今春卒業した大学生の就職率は4月1日時点で93.6%だった。厚生労働、文部科学両省が調査。1996年の調査開始以降で最低だった前年同期から2.6ポイントアップし、4年ぶりに改善した。

 昨年10月1日、12月1日、今年2月1日時点では、いずれも過去2〜3番目の低水準だったが、卒業前の最終盤で一気に上昇。雇用環境全体が必ずしも改善していない中、高い方から過去6番目と好転した。

 調査は大学、短大など112校を抽出して実施。大学生の就職率は男子が94.5%(前年同期比3.4ポイント増)、女子が92.6%(同1.7ポイント増)。文系が93.3%、理系が94.6%だった。

 東海3県や北陸、静岡などを含む中部地区10県の就職率は、全国6地区で最も高い関東地区(95.1%)に次ぐ94.9%。前年から5.9ポイント増加している。

 就職を希望しながら職を得られなかった人は推計で2万5000人。前年の約3万4000人から約9000人減った。

 短大は89.5%(同5.4ポイント増)、高等専門学校は100%(同1.3ポイント増)、専修学校は93.2%(同7.0ポイント増)だった。

 一方、就職希望の高校生すべてを対象にした文科省の調査では、3月末時点の就職率が前年同期比1.6ポイント増の94.8%。男女別では男子が96.3%、女子が92.8%だった。

■中小選ぶ学生増加 東海の大学

 大学生の就職率が上昇した背景には、中小企業を選択する学生が増えたことが大きく影響している。安定や親の期待などで大手企業に就職希望が集中する一方、中小に新卒が集まらないミスマッチがやや解消した形だ。

 東海地方の各大学は就職状況が好転しない中、学生に中小企業に目を向けるよう勧める。名城大(名古屋市天白区)も将来有望な中小企業も就職先の候補に入れるよう学生に指導してきた。その結果、今春の就職率は前年に比べて実質で2.1ポイント増加。大手への就職率に変化はなく、増加したのは中小に進む学生数だ。

 キャリアセンターの上村克義事務部長は「東京電力をはじめ東日本大震災後に苦しむ大企業を目の当たりにし、学生が『大企業ばかりが企業でない』と本気で中小に目を向け始めた」と指摘。「団塊世代の再雇用期間が終わり、穴埋めで求人が増えたことも関係していそうだ」と話す。

 学生側の変化も顕著だ。人材情報サービス大手の「マイナビ」(東京)が昨年12月〜今年2月に卒業予定者を対象に実施した調査では、就職先として中小企業志向の学生が59.2%と過去最高に。大手志向の割合は前年に比べ7.2ポイント減り36.1%だった。

(2012年5月15日 中日新聞夕刊10面より)

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