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2012.05.03
愛知大公館 私は描く 職員の山口さん「保存、ぎりぎりの時期」
旧陸軍の師団長官舎として明治末期に建てられ、築100年になる愛知大公館(豊橋市高師石塚町)の保存に役立てようと、愛大職員の山口恵里子さん(61)が公館の外観などを趣味の油絵で描き続けている。ここ3年は中部地方の公募展で入賞。「多くの人に公館の存在を知ってほしい」と保存に向けた動きにつなげたい考えだ。 (曽布川剛)
■建設から100年
公館は、現在の愛大豊橋キャンパス(同市町畑町)内に1908(明治41)年に創設された旧陸軍第十五師団司令部の師団長官舎として、12年に建設。木造平屋建てで、仕事用の洋館と居住用の和室を併設した。25年に師団が廃止されて以降は陸軍予備士官学校長官舎、戦後は愛大学長や教員の宿舎として利用。老朽化が進み、現在は空き家となっている。
■重要性知って
愛大の短期大学部を卒業後、事務職員となった山口さんは2004年から愛大の歴史資料を収集保存する部署に務め、公館の存在をあらためて知った。就職後、ずっと油絵を続けており、北西向きの窓に夕日が差し込む神々しい姿を見て「描きたい」と思い立った。
公館正面にある古井戸や車寄せ、窓から見える風景を描くうちに、公館の歴史的重要性を大学内外に知らせたいと作品の発表を始めた。08年からは中部地方の愛好家が参加する中部一水会展(中日新聞社共催)に出品し、10年から入賞を続けている。
■再利用が夢
公館は、創建当時の姿で残る全国唯一の師団長官舎として、02年に市の文化財に指定された。愛大OBや地元企業などの有志が資料館として公館を補修する計画が持ち上がったが、資金不足で頓挫した。山口さんはホールや喫茶店での再利用を夢見る。「私の絵を見て、公館に興味を持ってくれる人が保存に向けて声を上げてほしい。築100年の建物を修復するには今がぎりぎりの時期」と絵筆にも力を込める。
(2012年5月3日 中日新聞朝刊県内総合版より)
■建設から100年
公館は、現在の愛大豊橋キャンパス(同市町畑町)内に1908(明治41)年に創設された旧陸軍第十五師団司令部の師団長官舎として、12年に建設。木造平屋建てで、仕事用の洋館と居住用の和室を併設した。25年に師団が廃止されて以降は陸軍予備士官学校長官舎、戦後は愛大学長や教員の宿舎として利用。老朽化が進み、現在は空き家となっている。
■重要性知って
愛大の短期大学部を卒業後、事務職員となった山口さんは2004年から愛大の歴史資料を収集保存する部署に務め、公館の存在をあらためて知った。就職後、ずっと油絵を続けており、北西向きの窓に夕日が差し込む神々しい姿を見て「描きたい」と思い立った。
公館正面にある古井戸や車寄せ、窓から見える風景を描くうちに、公館の歴史的重要性を大学内外に知らせたいと作品の発表を始めた。08年からは中部地方の愛好家が参加する中部一水会展(中日新聞社共催)に出品し、10年から入賞を続けている。
■再利用が夢
公館は、創建当時の姿で残る全国唯一の師団長官舎として、02年に市の文化財に指定された。愛大OBや地元企業などの有志が資料館として公館を補修する計画が持ち上がったが、資金不足で頓挫した。山口さんはホールや喫茶店での再利用を夢見る。「私の絵を見て、公館に興味を持ってくれる人が保存に向けて声を上げてほしい。築100年の建物を修復するには今がぎりぎりの時期」と絵筆にも力を込める。
(2012年5月3日 中日新聞朝刊県内総合版より)