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お知らせ 2026.05.23
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東日本大震災15年 桜花・名古屋短大 被災地と協定 「命を守る保育」 陸前高田で学ぶ

岩手県陸前高田市での保育実習の意義を語る新沼英明教授=愛知県豊明市の桜花学園大で
計画では、実習は2027年度に始める。同短大が27年度に新設する保育科通信教育課程の学生も対象で、全国から希望者を募る。テーマは「防災・減災」。約2週間にわたり計20人程度の参加を検討している。
陸前高田市の保育園では震災に備えた避難マニュアルや備蓄品の整備が進んでいるといい、防災への理解を深めてもらう。同市の津波伝承館や震災遺構の見学も想定している。
一方、陸前高田市側は保育人材の確保を期待する。保育士不足は全国的に深刻で、今年1月の保育士の有効求人倍率は3・88倍。岩手県も2・98倍に上り、全職種平均の1・27倍を大きく上回る。
陸前高田市には保育士の養成校がなく、希望者は市外に進学し、就職でそのまま戻らないケースも多いとされる。同短大の通信教育課程に市内在住者を対象とする入学枠を設け、地元での就職につなげてもらう。
協定は、桜花学園大教育保育学部の新沼英明教授(保育政策)が、仕事と休暇を組み合わせる「保育実習ワーケーション」として提案した。同様の協定は全国的にも例がないという。締結式は6月8日に陸前高田市で予定されている。
■両親失った同市出身の教授 保育士に防災意識 故郷も元気に
協定の締結に向けて中心的な役割を担っている新沼教授は陸前高田市出身で、津波で両親を失った。50歳になった今も、高校時代まで過ごしたふるさとへの愛着は強く、「陸前高田のために何かしたいとずっと思ってきた。保育環境の充実に加え、広い視野を持つ保育士の育成に貢献できれば」と思いを明かす。
北海道医療大大学院を修了。社会福祉士と保育士の資格を持ち、震災当時は北海道函館市内の短大で教壇に立っていた。2011年3月11日。激しい揺れがあり、両親に電話したがつながらない。月末に父親が津波で亡くなったと知り、その後、民生委員だった母親も同じく命を落としていたことが分かった。
交通網の寸断により、故郷に戻れたのは約1カ月後だった。自宅は全壊し、慣れ親しんだ街並みは一変していた。「震災当時、何もできなかった悔しさがある」。自身の専門知識を生かし、提案したのが今回の取り組みだった。
震災では、多くの子どもたちが犠牲になった。痛感したのは、「命を守る保育」の重要性。「(東海地方で)南海トラフ地震への備えという意味でも、防災意識を強く持つ保育士を育てたい」と使命感を語る。
東日本大震災から15年がたったが、復興は今も大きな課題。学生たちは実習中、休日にイベントに参加したり、郷土料理を味わったりできる。旅行なども含めてその後も交流が深まれば、将来的に就職や移住に結びつくかもしれない。新沼教授は「交流人口の増加が非常に重要になる。全国から学生が集まることで、被災地の活性化にもつながれば」と望んでいる。
(2026年5月23日 中日新聞朝刊29面より)