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芸術の道を描けるよう 美術学生ら作品 展示販売の場続々

展示販売の会場で、来場者に自身の作品について解説する学生(中)ら=愛知県長久手市の文化の家で
美術のアーティストとして、自立したい-。そんな美術系大学の学生や卒業生に活躍の場をつくる試みが、学内外で増えている。大学ではアーティストの道に進むためのキャリア教育が十分でなく、そこに目を付けた文化施設や企業が、学生たちの作品を販売できる場を提供。学生が自立するためのノウハウを学ぶ場になっている。(宮崎正嗣)
1月末、愛知県長久手市の文化施設「文化の家」で、美術作品の展示販売企画「ART SHOP」(アートショップ)が開かれた。市内にある県立芸術大と大学院の学生28人、卒業生3人が出展。2日間で約61万円を売り上げた。
文化の家は2022年、同大の学生が活動できる機会を設けようと展示販売を始めた。担当者は「地元の文化施設として、未来のアーティストの飛躍を後押ししたかった」と狙いを語る。出展者は大学の教員による推薦のほか、学生による応募などから決める。施設職員が、学内外の展示を見て声をかけることもあるという。
日本画14点を展示販売した大学院2年の宮野里美さんは、学部生時代の22年から出展。これを機に全国のギャラリーや百貨店でも作品を展示するようになり、修了後も作家活動を続ける決意につながった。「展示の準備の仕方や接客も学ぶことができた。文化の家での経験がギャラリーなどでの対応に生きている」と話す。
画材や額縁を取り扱う「セントラル画材」(名古屋市東区)も2月から、県立芸術大と連携し、同大の学生や卒業生の作品を展示販売する「ARTBOX」(アートボックス)という活動を始めた。店舗の棚に16人の作品を展示。今後はアートボックスを企業の事業所にも設置する予定という。担当者は「作品を見てもらうことで学生にも自覚が生まれる。取り組みを地域に発信し、会社の成長にもつなげたい」と期待を込めた。
■卒展や仲介 大学も力
学生の作品を展示販売する仕組み作りは全国の美術系大学でも進んでおり、卒業制作展で作品を販売する大学も増えている。
京都芸術大(京都市左京区)は2012年から卒展で展示販売を始めた。22~24年度、1年あたりの売り上げは平均約1600万円だった。東京芸術大(東京都台東区)は18年、学内に「芸大アートプラザ」を開設。大手出版社「小学館」と共同で運営し、在校生や卒業生の作品を常時販売している。
愛知県立芸術大も昨年10月、文化芸術に関わる人材の育成や支援に取り組む法人組織「VAUA」を設立。26年度から本格的に学生や卒業生の作品販売の仲介に乗り出す。白河宗利学長は「芸術系の大学生はこれまでキャリア教育を受ける機会が乏しく、アーティストを目指そうにも、教授の背中を見て学ぶしかなかった。大学が企業とも協力して、支援という形で具体像を示すことで、少しでも多くの学生が自分たちの将来をイメージできたら」と話す。
(2026年3月12日 中日新聞夕刊7面より)