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中日新聞掲載の大学記事

2008.05.29

三重中京大に東海地区長距離界の新星

 東海地区の大学陸上長距離界で、グングン記録を伸ばし続けている新星が、三重中京大にいる。三重高出身の2年生・中田剛司だ。昨秋の東海学生選手権男子一万メートルで、当時1年ながら大会記録を破る自己ベストで優勝。今月9−11日に行われた東海学生陸上対抗選手権(東海インカレ)は故障で振るわなかったが、全国で通じるランナーを目指し、さらなる向上を誓う。

高校時代は無名

 小柄な体には、驚異的なスタミナと根性、そして大きな可能性が秘められている。三重中京大陸上部で一万メートルを本職とする中田は、大学に入学後、一気に記録を伸ばしてきた。

 新たな世界が見えたのが、昨秋の東海学生選手権。自己ベストを1分30秒以上縮める30分02秒での大学初優勝は、大会記録を6年ぶりに書き換えた。「強い選手について行けるところまで行こう」と思っていたが、市武徳監督(61)の指示を受けて8000メートル過ぎにスパート。独走になり、自分の成長を確かめることができた。

 今年5月の東海インカレでは、大会記録の29分37秒1の更新も狙っていたが直前に腰痛になり31分13秒11で6位。「悔しかった」と振り返るが、市監督は「練習もしていないであのタイムが出たのは収穫」と今後を見据える。

 三重高で長距離を始めた中田だが、タイムオーバーでレースを打ち切られたこともある無名の存在。それが大学で飛躍的な記録アップにつながったのは、当時三重高の監督だった市監督の「高校でやり過ぎるとその後、ベストが出なくなる」との考えによる、控えめの指導のおかげでもある。

 体が成長し、高校時代から大幅に増えた練習量に耐えられるようになった。中田も「内臓、心臓が強くなって筋力もついてきた。タイムが縮まっていくのは楽しい」と手応えを感じる。今後は「自分にはまだ足りないスピードを身につけて、まず29分台を出したい。それからその先を見ていきたい」と話す。全国のトップは28分台(学生記録はD・サイモンが出した27分31秒29)がずらり。先は遠く思えるが、29分台前半を出せば、その高いレベルで競うことができる。夢を現実に変えてきた中田なら、かなえられるはずだ。 (田中一正)

(2008年5月29日 中日スポーツ11面より)
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