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学生活動  2023.05.05

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ヤングケアラー 理解深めて 名院大生ら カードゲーム製作

完成した「クロスロードゲーム」で議論する(右から)佐久間さんと葛谷さん、沢田講師=名古屋市熱田区の名古屋学院大名古屋キャンパスたいほうで

■当事者の実体験基に議論
 病気の親らを世話する若い世代「ヤングケアラー」について理解を深めるきっかけにしてもらおうと、名古屋学院大(名古屋市熱田区)の学生らがカードゲームを製作した。ヤングケアラーの実体験に基づく問題が出題され、解決策を話し合う「クロスロード(岐路)ゲーム」と呼ばれるもので、当事者意識を育むことができるのが特徴だ。(鈴木凜平)

 クロスロードゲームはもともと、阪神大震災での経験を防災に生かすため、他の大学教授らが考案した。これを基に、子育てと介護を同時にする「ダブルケア」を研究する同大の沢田景子講師が、ダブルケアを題材にしたゲームを2019年に製作。ヤングケアラーについても認知度が不足しているという危機感から、昨年に学生6人と製作を始め、今年3月に完成した。

 ゲームでは、想定する立場と問題が書かれたカードが30枚ある。たとえば「あなたは16歳の高校1年生です」「車いすの父親の世話をしており、近くのクリニックに連れて行く際に同級生とすれ違うことが多い。気まずさを感じるが、笑顔であいさつするか」といった設定と問題が記載されている。各参加者は「イエス」か「ノー」で回答し、どうすべきか話し合う。

 他のカードでは、弟や妹、体の調子の悪い母親と暮らし、アルバイトで家計を助けている高校3年生の18歳という設定で「進学したいけど、母から働いてほしいと言われている。進学をあきらめるべきか」という問いを投げかける。

 カードの問題は、ヤングケアラーの当事者の体験が基になっている。学生らが昨年、LINE(ライン)を使い、支援団体に協力を求めたり学内で募集したりして、匿名で声を集めた。

 現代社会学部4年の佐久間花奈さん(21)は「ヤングケアラーと一口に言っても、いろんな背景や事情があることが分かった」と振り返る。同2年の葛谷みらんさん(19)は「私と同じ年代のヤングケアラーの子はきっと身近にたくさんいる。体験に接して、人ごとじゃないと感じた」と語った。

 カードは販売しておらず、今後学生と使い方を議論した上で、地域のイベントなどで活用する。沢田講師は「学生のおかげで、多くの人に伝わりやすいゲームができた。ゲームで当事者の経験を追体験したり、議論を深めたりすることで、ヤングケアラーのことを知る第一歩にしてほしい」と話した。

(2023年5月5日 中日新聞朝刊9面より)

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