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学生活動  2023.02.02

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一宮のお勧めを聞かせて 名学芸大・稲森さん コーヒー振る舞い情報収集

コーヒーをいれながら、思い入れのあるスポットを聞く稲森さん(左)=一宮市栄で

コーヒーをいれながら、思い入れのあるスポットを聞く稲森さん(左)=一宮市栄で

■マップ作成 街づくりに活用へ

 名古屋学芸大4年の稲森雅衣さん(21)が、一宮市の一宮駅前の路上で「よりみちスタンド」の試みを行った。通行人に無料でコーヒーを振る舞う代わりに、周辺のお勧めスポットを教えてもらう活動で、集めた情報でよりみちマップを作成。市は「歩いて楽しい街」をうたい、中心部のにぎわいづくりに力を入れており、駅周辺の魅力発見に役立てたい考えだ。(下條大樹)

 1月29日の日曜日、一宮駅東口近くの銀座通りでは、コーヒースタンドの香りに引き寄せられるように通行人が足を止めた。コーヒーを振る舞う稲森さんがお勧めの場所を聞くと「この店のシュークリームがおいしい」「どこで飲むか迷ったらここ」「図書館なら家族でいられる」と次々とスポット名が挙がった。

 こうして集めた駅周辺のお勧めスポットの情報は、マスキングテープに書いて黒板に貼り、よりみちマップとして集約された。マップを眺めた近くの住民は「こんなところあるんだ」と興味津々の様子。幅広い世代がマップの周りに集い、自然と会話が生まれていた。

 稲森さんは名古屋市天白区出身。大学1年から、カフェやイベント、サークル活動などで、多くの世代が交流する施設の運営に携わり、街中でいろんな人たちと交流する活動を自分でもやってみたいと思った。そこで2020年、天白区の公園を皮切りに、自作の移動式スタンドでコーヒーを無料で提供し、いろんな人の話を聞く試みを始めた。

 今回は4回目で、初の市外での活動に一宮市を選んだ。市は駅構内の再開発が進む一宮駅のにぎわいを中心部の周辺エリアに広げ、歩いて楽しい街づくりを目指す「まちなかウォーカブル社会実験」を進める。今回は若者の目線から駅周辺の魅力を発掘してもらおうと、稲森さんに協力を依頼。稲森さんも従来は通行人から話を聞くだけだったが、今回は形に残そうと、よりみちマップを作成した。

 週末の5日間の活動で100人が訪れ、マップには40カ所が集まった。コーヒーは稲森さんの趣旨に賛同した市内のコーヒー店が無償で提供した。コーヒーをごちそうになった人がお勧めスポットの鬼まんじゅうやたこ焼き、チョコレートなどを差し入れするなど交流が広がる場面もあった。

 スタンドに立ち寄った市内の会社員の男性(23)は「いつも買い物で名古屋に行ってしまうが、一宮にも魅力的な店があるのを教えてもらい、人と人とのつながりも感じられた」と満足げだった。

 稲森さんは「すごく楽しく、一宮が好きになった。今の時代、ネットで調べれば店は出てくるけど、街の人からストーリーを直接聞いたスポットは温度感が違う」と振り返る。今春の大学卒業後は名古屋市内のデザイン会社に就職する予定で、「この活動は趣味で続けていきたいし、街中にこんなスタンドがもっと増えたらうれしい」と話した。

 市は駅周辺の魅力的なスポットをまとめたマップの作成を検討しており、稲森さんが集めた情報も活用したい考え。市の担当者は「稲森さんのような学生や若者は、未来の担い手としてとても重要」と取り組みに感謝した。

(2023年2月2日 中日新聞朝刊尾張版より)

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