「小さな祈りのかたち」をテーマに、写真や版画などの作品が並ぶ展示＝東区東桜１の県立芸術大サテライトギャラリーＳＡ・ＫＵＲＡで

　「小さな祈りのかたち」をテーマにした県立芸術大（長久手市）のコレクション展が、東区東桜１の同大サテライトギャラリーＳＡ・ＫＵＲＡで開かれている。１８日まで。

　展示は、卒業生の作品３点を含む古今東西の版画、日本画、写真、ブロンズ像など１３点。同大芸術資料館学芸員の川上真由子さんは「コロナ禍や紛争、人種・民族による差別など混沌（こんとん）とした世相の中、美術作品を通してさまざまな祈りの形に触れてもらいたい」と狙いを説く。

　フランスに渡って創作を続けた長谷川潔の銅版画作品「一樹（ニレの木）」は、老樹の天辺から放射状に幾本も伸びた若枝が神々しく描写されている。太平洋戦争が近づいていた１９３７年に小野忠重が制作した木版画「海辺の家族」には、平和と家族の安寧を願う心を感じることができる。

　同大ＯＢで写真家の雑賀（さいが）雄二さんが長崎県五島列島で撮影したモノクロの組み写真「キリシタンの島々」や、同じく卒業生の青木理恵さんが中国の詩人・杜甫の絶句のはかなさを、せっけんを彫刻して表した作品なども並ぶ。正午～午後７時。　（小島哲男）

（2021年4月13日　中日新聞朝刊なごや東版より）