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お知らせ  2021.03.29

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B型肝炎の感染妨げる物質発見 愛知医大 飲み薬開発に期待

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 B型肝炎ウイルスが肝臓の細胞に感染することを妨げる特殊な物質を、愛知医科大の伊藤清顕(きよあき)・特任教授(肝臓病学)らの研究チームが発見した。この物質は食物の消化を助ける「胆汁酸」の一種。B型肝炎の新たな飲み薬の開発につながる可能性がある。

 B型肝炎ウイルスは肝臓の細胞上に存在する受容体と呼ばれる複数のタンパク質を、自身の外殻に取り囲むようにくっつけて、細胞内に入り込む。チームは、感染前のウイルスと受容体の接触を妨げる物質がないかを調べ、外殻にくっつく特殊な物質を見つけた。ヒトの肝臓を移植したマウスにウイルスを投与した実験で、感染を防ぐ効果が確認できた。

 B型肝炎は、世界で感染者数が2億6000万人に上り、現在も感染が拡大し続けているとされる。日本国内の推定患者数はおよそ100万人。治療は飲み薬や、ウイルスを攻撃するインターフェロンの注射などが一般的だが、発熱や関節痛、うつ病などの副作用が出ることがあり、新たな治療薬の開発が望まれている。

 伊藤特任教授は「実用化につながり、多くの患者の治療に役立つことを期待する」と話した。成果は米科学専門誌に掲載された。(白名正和)

(2021年3月29日 中日新聞朝刊3面より)

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