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学生活動  2021.03.10

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大学と住民の懸け橋に 金沢工業大生「SoRA」コロナでもできることを

金沢工業大生たちの「防災・減災プロジェクトSoRA」が企画したイベントで、防災ゲームに熱中する子どもら=2019年11月、石川県野々市市の富奥防災コミュニティセンターで

金沢工業大生たちの「防災・減災プロジェクトSoRA」が企画したイベントで、防災ゲームに熱中する子どもら=2019年11月、石川県野々市市の富奥防災コミュニティセンターで

 中学生が、大学生が、防災・減災の取り組みに若い力を発揮している。「どうせすぐには逃げられない」と災害への備えに及び腰だった住民の意識を変えつつある。ふだんの生活の中で「ゆる防災」を始めた地区もある。「3.11」から10年の節目に各地の活動を紹介し、地域や家庭でできる身近な防災対策を考える。

 東日本大震災が起きた翌年の2012年、地域防災の授業をきっかけに石川県野々市市の金沢工業大の学生たちは「防災・減災プロジェクトSoRA(ソラ)」を立ち上げた。団体名は、学生や住民、運営を意味する英単語の頭文字だ。活動を通じて住民との懸け橋になることを目指し、今は16人が「夜回り」や「防災教室」などに取り組んでいる。

 ソラの一番の特色は、地域の人たちとの協力体制。毎月第3金曜の夜に、大学周辺の3地区(高橋町、本町2丁目、扇が丘)を住民と巡り、拍子木を鳴らしながら「火の用心」を呼び掛けている。小学校に出向く「防災教室」では、災害から命を守る知識をクイズを交えて伝えている。

 地域の人に学生の顔を覚えてもらうことを目指している。同大のキャンパスは市の避難所に指定されていて、災害時に地域住民を受け入れる。ソラの学生たちも避難所の開設を支援する。日ごろから、地域住民と交流することで、災害時にも「顔なじみの学生さんがいる」と不安を和らげてもらう効果を狙っている。

 19年夏には、市役所などで催されるイベントに「防災迷路」を出展した。迷路の分岐点に防災に関するクイズを配置し、正解だと思った方向に進んでもらう内容で人気を博した。同じ年の11月には、市内の菅原小学校で、避難路の確認や学校での避難所生活の体験も兼ねた「防災キャンプ」を企画した。

 一方で、住民との交流を大切にするソラにとって、コロナ禍での活動のあり方は悩みの種になっている。毎月の夜回り活動も、昨年は年末に一度できただけ。直近に予定していた防災教室は、感染症対策のために中止になった。

 こんな状況でもできることをしようと、昨年10月に、市内の御園小学校でコロナ禍での避難所開設訓練に携わった。翌11月には、市と協力してパソコンやスマートフォンで気軽に地震や大雨についての防災知識を学べる「防災クイズ」を作り、市のホームページで無料公開した。

 今後の目標は、メンバー内にNPO法人「日本防災士機構」(東京)が認定する「防災士」資格を持つ学生を増やすこと。現在3人が資格を持つ。自身も防災士で建築学科2年の森本裕太(ゆうた)代表(19)は「コロナで活動は難しいが、工夫して情報発信していきたい」と話す。 (吉田拓海)

(2021年3月10日 北陸中日新聞朝刊21面より)

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