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中日新聞掲載の大学記事

お知らせ  2020.10.01

名市大教授ら発見 新治療法開発に可能性

制御性T細胞による修復機能のイメージ

制御性T細胞による修復機能のイメージ

■皮膚に紫外線→傷の修復物質

 紫外線を当てた皮膚内で特殊な細胞が増え、その中に皮膚の傷を治す効果(ヒーリング効果)がある物質が含まれていることを、名古屋市立大(名古屋市瑞穂区)の山崎小百合教授(免疫学)らが発見した。研究が進めば、皮膚にできた傷の新しい治療法の開発につながる可能性がある。

 特殊な細胞は「制御性T細胞」と呼ばれ、免疫の暴走を抑えて正常に働くためのブレーキ役になっている。ノーベル医学生理学賞の有力候補者とされている大阪大の坂口志文特任教授が発見した。

 山崎教授は、皮膚に紫外線を当てることで増加した制御性T細胞を分析し、皮膚を修復する効果がある物質「プロエンケファリン」が多く含まれていることを確認した。体内に元から存在する制御性T細胞にはみられない物質という。

 実験では一定量の紫外線を照射したマウスと、全く紫外線を当てていないマウスの背中に傷をつくり、治り具合を比較。開始から2日目に紫外線照射マウスは傷の大きさが元の4割にまで小さくなったが、無照射マウスは6割にとどまった。その後も照射マウスの方が傷の治りが早かった。

 山崎教授は「新しい治療法の開発も視野に、基礎研究を進める」と話した。研究成果は、米国科学アカデミー紀要電子版に掲載された。 (白名正和)

(2020年10月1日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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